何万分の一の確率

2017.04.24.Mon.21:06

ある中学校で毎年恒例の

マラソン大会が行われていた。 

この大会には一人、

体の弱い生徒が参加していた。

彼は病弱でありながら意志がとても強く、

ビリになっても見事に最後まで完走。

そんな彼の姿をゴール前に集まった

クラスメイトたちは拍手と大歓声で迎えた。

ところが、無理をしすぎたのであろうか。

彼はゴールをした途端にその場に倒れ込み、

意識を失ってしまったのだ。

驚いた教師たちはすぐに彼を病院に運び込んだが、

彼の意識は二度と戻ることがなかった。

後日、そのマラソン大会の写真が現像された。

教師の一人が頑張る生徒たちの姿を

収めようと撮影していたものだ。

その中にはあの少年が

ゴールした瞬間に撮られた写真、

ゴールを駆けぬけながら、

今まさに崩れ落ちようとしている少年の写真も

含まれていた。

「彼が参加したいと言った時、

やはりもっと強く反対しておくべきだったんだ」

教師は悔やみながら、少年の最後の姿を見つめた。

苦悶の表情を浮かべ、

今まさに倒れようとする少年。

そして、一瞬後の悲劇を知らずに、

少年に向けて暖かい拍手を送る他の生徒たち…。

しかし次の瞬間、

教師は驚きのあまり写真に釘付けになった。

何万分の一の偶然だろうか。

写真の中、少年に向けて拍手を送る生徒たちの手が

全てぴったりと合わさっていたのだ。

それはまるで、

彼に向かって合掌しているかのようであった…

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