借家の一戸建て

2017.05.16.Tue.21:15

親が家の一階で夜遅くまで仕事をしてたんで、俺はいつも2階にある寝室で生まれたばかりの弟と一緒に寝ていた。

が、その日だけはどうしてか無性に親と一緒に寝たいとぐずった。けど母親になんだかひどくきつめに怒られて、結局渋々先に弟が寝てる寝室へと上がっていった。

寝室の扉は引き戸で、ちょうど上のほうに30cm×40cmくらいの窓があった。

中に入ってふとその窓を見上げたら・・・その窓に男の顔が見えた。

ヘルメットをかぶった男が部屋の中を覗き込むように目玉だけぎょろぎょろとうごかして見回してる。

俺はてっきり親父が遅くまで起きてるから脅かすつもりで上にあがってきてくれたんだろうと思ってがらっと扉を開けた、だけどそこにはだーれもいない。

階下から親父とおふくろが仕事で電話している声が聞こえてるし、階段を上がってすぐの寝室とはいえ、開ける瞬間まで見えていた男がいなくなることはさすがにあり得ない。

もっかい扉を閉めてみあげると男はいる、先ほどと同じように・・・

もう一度ドアを開けた、やはり誰もいない。閉めて確認すると、男はいる。

俺は怖くなって両親がいつも寝ているダブルベッドに潜り込んで布団をかぶった。ガクブル状態。

そしてそのまま眠ってしまった。

あれが何か親に訪ねたかったのだがそれ以降見かけることもなく、引っ越ししたのも重なってそんなこと忘れかけていたんだけど・・・

小学生になった頃心霊番組とかがはやりはじめて、その体験談とか聞くうちにあれって幽霊だったのか・・・とわかった

もう家も引っ越した後だったので親に何気なくそういう話をした。

幽霊が見えるような霊感もった子供ではないので親はびっくりしたようだが、そのうちこんなことを聞かされた。

その家に住んでいた何人か前の人は兄弟でその一戸建てを借りていたそうなのだが・・・

その片方が交通事故でなくなっていたらしい・・・

できすぎてて洒落にならないがそういえば幽霊は俺に危害を加えるわけでもなかった。

見かけたのは一度きり何か見渡して探すような動作をしていたことを考えればただ部屋にいるはずの家族に会いに来ていただけだったのだろう、なんだか妙に納得してしまった。

その家は震災で全壊し今はビルが建っている。

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