誇り

2017.05.17.Wed.21:15

うちの婆ちゃんから聞いた戦争のときの話。

婆ちゃんのお兄さんはかなり優秀な人だったそうで、

戦闘機に乗って戦ったらしい。

そして、神風特攻にて戦死してしまったそうです。

当時婆ちゃんは、製糸工場を営んでいる親戚の家に疎開していました。

ある日の夜、コツンコツンと雨戸をたたく音がしたそうです。

だれぞと声をかけども返事はなし、

しょうがなく重い雨戸を開けたのですが、それでも誰もいない。

婆ちゃんは、それになにか虫の報せを感じたそうで、

「兄ちゃんか?」と叫んだそうです。返事はありませんでした。

その後戦争が終わり、婆ちゃんは実家に戻りました。

そしてお兄さんの戦死の報せと遺品、遺書が届いたそうです。

婆ちゃんは母親、他の兄弟たちと泣いて泣いて悲しみました。

遺書には、お母さんや他の兄弟について一人一人へのメッセージが書いてありました。

婆ちゃん宛には、次のように書かれていたそうです。

「キミイよ。兄ちゃんが天国いけるように祈ってくれ。弁当を食べてから逝くから、空腹の心配は無い。

 この国を、日本を頼んだぞ。負けても立ち上がれ、誇りを捨てるな。

 まずしくともよし、泥をかぶってもよし。かねを持っても、うまいものを食ってもよいのだ。

 ただひとつ心を汚すな。それが日本人だ。心を汚されたときこそ、おこれ。

 黄色のりぼんがよく似合っていた。兄はいつも共にある。うつくしくあれ、キミイよ。」

 

婆ちゃんは疎開先の製糸工場にいるとき、当時出来たばかりの新商品である黄色のヒモを 毎日お下げに巻いていたそうです。

お兄さんにその黄色のヒモを見せたことは一度も無かったので、

あの雨の日にワタシに会いに来たんだと、婆ちゃんは生涯信じていました。

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