キャンプ場近くの洞窟で

2017.06.20.Tue.16:15

某洞窟で体験した話です。長いですがお許しください。 

いわゆる、秋のオートキャンプだった。 

大学の寮内バカメンバーだった広島のヤツらと3人で、 

山陽にあるオートキャンプ場で、久しぶりに集まって一杯やろうか!という話になった。 

テントやらコンロやらをワゴンに詰め込んで、車内で昔話で盛り上がってるうちに、 

山奥のすばらしいキャンプ場に着いた。 

テントを張って、晩飯の仕込みをし、その間にも昔話で盛り上がってた。 

そうこうしているうち準備も終わり、まだ時間があるんで、 

ちょっと周辺を観光しようか、という話になった。 

ドライバーのヤツは、寝とくわと言ったので、二人で散策することにした。 

キャンプ場からものの5分のところに、大きな洞窟が口をあけていた。 

古びた看板を読むと、こんなことが書かれていた。 

「ここは、源平合戦のおりに、平家一門が隠れ住んでいたという伝説がある洞窟です」と。 

そして看板のそばには、ちいさなほこらがまつってあった。 

へぇ~、こんな薄気味わるいとこに、よう隠れとったなぁ。 

そうじゃの~。なんて会話してて、ふとそいつに話したくなった。 

「オレのご先祖に、平家の落人がいるらしいで」 

そいつは、ふ~ん、と流した。本当のことなのになぁ。

そのときだ。オレの頭の中に言葉がささやくようにひらめき、 

つい口をついて出てしまった。 

「・・・おごれる平家は、久からずや。おごれる源氏もまた、久からずや。 

・・・・世は、なべて諸行無常なり・・・・」 

低い声だった。自分でもびっくりするぐらい。 

でも、ヤツは聞いてなかったかのようだった。 

じゃ、洞窟の奥に入る前に写真を撮るか、と、 

ほこらと看板の前に立ち、入れ替わるようにして2枚撮った。 

写真を撮りながら奥に進むと、いっそう不気味さは増した。 

洞内のランプが途切れたその先は、飲み込まれそうな暗黒だった。 

さすがに、これは進めないと、オレ達は引き返し、テントに戻った。

楽しい宴だった。ただ、ものすごい冷たい風に、みんな毛布にくるまってたが・・・。 

そうこうしているうちに、眠くなり、テントに潜り込んで爆睡してしまった。 

そして翌朝、気持ちのいい朝だった。 

みな早く起きたので、きのう残っていたヤツに、洞窟に行こうと誘ったのだが、 

めんどくさいとぬかしたので、また昨日のヤツと行ってみた。 

2度目なので、今度は怖くはなかった。 

20分ほどでテントに戻ると、残ってたそいつがニヤニヤしていた。 

「なんや?」「おまえらのー、中でエッチなことしとらんかったか?w」 

「おいおいホモじゃねーよ!」「いや、おまえらのすぐ後ろに、女がくっついて歩いとったぞw」 

「・・・・どんな女?」「そーじゃのー、髪の長い美人じゃったw」 

またこいつ、昔の悪いクセが出たなwと、オレ達は軽く流してやった。 

「うんうん、いっぱいしてもらったよwwww」「えーのぉw」

数日後、できあがった写真を見て、我が目をうたがった。 

ほこらの前の、同じ場所で撮った2枚の写真だった。 

最初に写ったオレのまわりは、ただの洞窟の岩肌だ。でも、 

同じ場所に立った友人の写真は、なんとも言いがたいモノが写っていた。 

友人の右ひざに、15センチくらいの男の顔。 

右斜め前に、烏帽子のようなものをがぶった2メートルくらいの男の首が横たわっている。 

そして、友人の背後には、4~5メートルくらいの、女官のような長い髪の、巨大な女の顔。 

源平合戦絵巻に出てくるような、武士や女官にそっくりだった。 

その他、いろんなものがぐちゃぐちゃに混ざって、白いもやと共に写っていた。 

・・・・・・・これは心霊写真か? 

冷静だった。人間、本当に恐怖を感じると、感覚がマヒしてしまうことが、わかった。

すぐに電話した。いっしょに洞窟に入った友人は、「そんなのいらん」と言って、怒ってしまった。 

もう一人の残ってたヤツに電話したら、「ぜひくれ!」というので、 

そっちで処分してくれ!と、速達でネガごと写真を送ってしまった。 

数週間して、そいつから電話があった。 

ヤツはそれを会社に持って行き、大反響だったそうだ。 

おいおい知らんぞ・・・・。 

そして、あのあと気になっていた事を、思い切って聞いてみた。 

「あのな、オレ達のあとに女がついて来たって言ってたな」 

「うん、おったでw・・・・あ」

その後、彼はネガごと写真を紛失してしまった。 

そのあとに、我々に起きたことは、書きたくない。 

ただ、オレは数年後ひとりで、再びあの洞窟に行き、 

ほこらにお酒をそなえて「ごめんなさい!ごめんなさい!」と、 

謝ったおかげか、今のオレ達には、とりあえずは不幸は来ていない。 

おそらく、オレは平家の血を、本当に引いているのだろう、 

そう実感した、出来事でした。

関連記事
コメント

管理者のみに表示