電話ボックスから・・・

2017.06.23.Fri.11:15

中学生の半ば頃だったはず。

私の学校はかなり辺鄙な場所にあり、学校を隔てて片方は都市部、 

もう片方は山林部、のような感じで、極端なほどに景色が分かれていた。 

だから、遊ぶのには困らなかったわけだ。 

都市側にあるゲームセンターに飽きた時、 

私と友人達は山林部で遊ぶ事にした。 

あれは・・・「探偵」だったかな?とにかく、「犯人」役がいて、 

「探索者」がそれを探すと言う感じのゲーム。 

それをしていた時の事だ。私は逃げる「犯人」役で、 

どこか良い場所が無いかと一人で山中を歩いていた。そして、 

小さな広場のような場所に出たとき、意外な物を見つけた。 

電話ボックス。 

それは、廃棄されていた・・・というよりかは、 

乱雑に倒れているのではなく、きちんと立てて置かれていた。 

それだけでもかなり変な事なのだが、そのボックスの到るところに、 

「KEEP OUT」の黄色いシールがベタベタと貼られていたのだ。 

その内部は曇っている上、シールのせいもあり完全に見えない。 

何でこんな物が・・・と考える暇も無く、その内部から物凄い声がした。 

ダーーーーーーーーーーーーーーゼーーーーーーーーーーーーー 

驚いて後ずさりしたら、ボックスのガラスの面の一箇所に30個くらい? 

(多すぎてよく覚えていない、大きさは人の指がちょうど出し入れできるくらい) 

にパリンと穴が開いた。 

その全てから人間の指が出ていた。 

指の数から、あの中にはたくさんの人間がいたはずだ。 

だが、電話ボックスにあれだけの数が入るはずが無い。 

では、中にいるのは一体何なのか。 

ダーーーーーーーーーーーーーーゼーーーーーーーーーーーーー 

もう一度聞こえた物凄い叫び声。 

だが複数の声ではなく、明らかに「単体」から出される声だった。 

そして、だしぬけに理解してしまった。 

ああ、そうか。分かったぞ。「出せ」って言ってるんだ・・・。 

木々を縫って降り注ぐ太陽の光が、恐らくは雲によって遮られ、 

森の中が少し暗くなったと同時に、私は駆け出していた。 

いくつもの音・・・鳥の鳴き声、木々のざわめき、枝の折れる音、そしてあの叫び声。 

それらを気にして振り返る事など出来るはずが無かった。 

友人と合流した後、体験した事を彼らに説明した。 

あまりにも気味が悪く、余りにも怖すぎたので、 

誰も行こうなどとは言わなかった。 

私の必死の説明が彼らにも伝わったのだろう、 

それから私たちは山林部で遊ぶ事はなくなった。 

「指だらけの怪物」 

・・・こう言うとシュールで、少し笑えるかもしれないが、 

ただ現実として残っている記憶、出来事を、ここに書いてみた。

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