見知らぬ靴

2017.07.11.Tue.16:15

帰宅したら玄関に見知らぬ靴があった。

俺、ひとり暮らしだし、合鍵はない。 

人を部屋に呼んだことすらないんだ。 

やべ、空き巣か?と思って心臓バクバクした。 

俺のサンダルとダンロップが脱ぎ散らかしてある中で、 

その靴だけ几帳面に揃えて置かれている。 

女物のビジネスシューズ。 

シューズキーパーが入っているのに気づいて血の気が失せた。 

全身の筋肉がプルプルしてしまったので、 

ぎこちなくゆっくり一歩下がり、静かにドアを閉めた。 

息を殺して慎重に施錠した。 

鼻からフガフガ勢いよく息が漏れるから、全然殺せてなかったと思うけど。

その後、通報で駆けつけてくれたお巡りさんが、俺の代わりに部屋に入ってくれた。 

玄関には、あの靴がそのままあった。なくなっていたら、それはそれで余計に怖い。 

それ以外、部屋に異常はなかった。 

室内を見分している間、結構入念に人間関係(特に女性)のトラブルについて

聞き取りを受けた。 

そんなトラブルの自覚はないし、まして女性関係ならなおさらだ。 

警官から、被害相談として受理するから、また同様のことがあったら連絡するようにと

名刺をもらった。 

ちなみに、俺の部屋は事故物件なんだけど、 

亡くなったのは高齢の男性で、病死だったそうだ。 

おじいちゃんには女装癖があった、というオチなら気が楽になるんだけど。 

あれから同じことは起きていない。警察からも情報はない。

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