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のっぺらぼうたち

2017.09.01.Fri.11:15

俺がまだ幼稚園児で、祖母ちゃんと寝ていた頃の話。

その夜、俺はいつものように祖母ちゃんの部屋に行き、そして昔話を聞いてから寝た。

その時はまだ何も変わりなかった。

深夜、俺は何故か目が覚めてしまった。

トイレに行きたいわけでもないのに、目がさえて眠れない。

その時、祖母ちゃんがうなされる声が聞こえてきた。

俺は気になってそっちを見た。

…誰か立ってる!

祖母ちゃんの布団のまわりを、取り囲むように人が立ってた。

それは顔が無く、おかっぱ頭で、着物を着て、みんな同じ格好だった。

でも何故だろう?

何か悲しいような感じがした。

顔が無いのに、悲しい表情をしているように感じた。

でも同時に、怖い顔で笑っているようにも感じた。

俺は怖くなって頭から布団を被り、そのまま朝になった。

明るくなってきて、俺が恐る恐る顔を出すと、『のっぺらぼうたち』はいなくなっていた。

俺はすぐに祖母ちゃんを起こし、深夜あったことを伝えた。

すると祖母ちゃんは、こんな話をしてくれた。

「実はのう、ワシには小さい頃に死んだ妹や弟が何人もおってのう。

 あの頃は戦時中で、ろくに線香もあげてやれんかった。

 それでのう、こないだ小さな地蔵を立ててのう、

 お寺さんに戒名をつけてもらって、お経も上げてもらったんじゃ。

 そうか…お礼を言いに来たか…」

と祖母ちゃんは目を細めた。

俺が「祖母ちゃんうなされてたよ?」と聞くと、祖母ちゃんは怪訝そうな顔をして、

「夕べ、祖父さんの戦死した夢を見てな、恐ろしい夢じゃった。祖父さんに何もなけりゃいいが…」と言った。

実は祖父ちゃんはこの時、風邪をこじらせて入院していた。

俺は何か悪い予感がしていた。

そして、その予感は現実のものとなった。

朝食を取っていると、病院から電話がかかってきた。

祖父ちゃんの容態が急変したからすぐに来て欲しい、とのことだった。

親父達は病院に行ったが、俺は幼稚園に行かされた。

そして祖父ちゃんはそのまま死んだ。

俺は悲しいよりも怖かった。

怖かったのは、あの『のっぺらぼうたち』が、何のために出てきたのか分からなかったから。

祖父ちゃんの死を知らせに来たのだろうか?

ただお礼を言いに来ただけだろうか?

それとも…本当に、祖母ちゃんの弟妹だったんだろうか?

もちろん、これらの謎は解けるはずも無く今に至っている。

ただ、実家に帰り墓参りした時にその地蔵を見ると、すごく不気味に感じる。

そうだ…この地蔵の笑い方…

あの『のっぺらぼうたち』に感じた笑みと同じだ…

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