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宝探し

2017.09.12.Tue.21:15

685 :本当にあった怖い名無し:04/11/08 17:55:50 ID:3SXxK8bF

一週間も前かな?そんなに前じゃなかったかも。 

兎に角暑い日だったなぁ。蝉がミンミン鳴いていて、木陰にいてもとても暑かったんだ。

「なぁ、たっくん。実は良いとこ見つけたんだ」 

亮は垂れたアイスがついた指をしゃぶりながら僕に言った。 

「いいとこ?」 

「そっ、いいとこ。 でもさ、一人じゃ駄目なんだってさ」 

亮はアイスのバーに当たりと書いてなかった事に腹を立てたのか、 

バーをぼきりと折ると、思いっきり投げつけた。 

「なんかさ、スッゴイお宝があるらしいんだよ。 

 でもさ、絶対に二人じゃないと手に入らないんだって」 

亮は僕の目を下から覗いた。 

僕に一緒に行って欲しいって言っているんだ。 

僕と亮はどんな時も、二人一緒だ。 

喧嘩したって、次の日には笑って仲直りできるんだ。 

686 :本当にあった怖い名無し:04/11/08 17:56:21 ID:3SXxK8bF

「んじゃさ、僕と行こうよ」 

そう言うと、亮は満面の笑みを浮かべた。 

「もっちろんさ。だからたっくんにしか言ってないもん」 

「よし、どうせ今日は面白いテレビもないからさ、これから行こうよ」 

ホントは五時から始まるアニメが見たかったけど、 

クラスメイトの誰かがきっと、ビデオにとっているはずだ。 

それよりも、この好奇心そそられる冒険の事で頭が一杯だった。

「南の山の麓の森あるじゃん?そこにさ、古い洋館があるんだよ」 

亮の詳しい説明によると、森の大分奥まった所に、誰も住んでいない洋館があるらしい。

南の山って言うのは、松茸だか何かが取れるとかで、一般の人は立入禁止になってるんだ。 

だからここら辺の人は、絶対に入っちゃいけないことになってる。 

「でもさぁ…。南の山に入ってもいいのかなぁ?」 

「大丈夫、大丈夫。怒られたら俺の所為にしていいから」 

亮は良くこの台詞を使う。 

でも、実際亮の所為にしても、結局僕も怒られちゃうんだ。 

「でも…」 

「ぐずぐずしてたら、他の誰かにお宝取られちゃうよ!!」 

亮がだだをこねだしたら、もう少しで怒り出すサインだ。 

「わかったよ、行くよ、行く。二人じゃないと駄目なんだし」

687 :本当にあった怖い名無し:04/11/08 17:56:52 ID:3SXxK8bF

森はひんやりとしていて、今日みたいな日には心地よかった。 

迷いそうでちょっと心配だったけど、亮はズンズン先へと進んでいった。 

亮がいるから安心だ。亮は野生児って感じだもんな。 

亮は途中何度かポケットから紙屑を出すと、道ばたに落としていった。 

「ねぇ、何してるの?」 

「これはね、帰りに迷ったりしないように、印を残してるんだよ」 

なるほど。これなら暗くなっても、これを辿れば迷わないな。

一時間も歩いただろうか。開けた所に出た。 

目の前には、何とも言えない雰囲気の洋館がそびえていた。 

「たっくん…、別に無理して入らなくてもいいんだぜ?」 

ここまで来て何を言ってるんだろう、と思ったよ。 

亮は腕っ節は強いし、青大将だって素手で捕まえられるけど、 

幽霊とかお化け屋敷とか、そう言うのは大の苦手なんだ。 

僕はそう言うのは全然平気。むしろ大好きさ。 

「なんだよ、亮ちゃん。怖くなったのか?」 

ちょっとバカにした様に言うと、亮はむきになって怒りだした。 

「何言ってるんだよ!!怖いもんか!!行くぞ…」

大きな玄関前に行くと、ドアになにやら書かれている事に気づいた。

688 :本当にあった怖い名無し:04/11/08 17:57:27 ID:3SXxK8bF

『二人ずつお入り下さい』 

本当に二人で入らないと駄目なんだ。 

実際こんな所があるなんて、ちょっと信じられない感じだった。 

誰が何のためにここを用意したのか判らないけれど、入ってはいけない所で無いのは判った。 

「よしっ…行くぞ、たっくん」 

「うん」 

ぎぃぃ。きしむような嫌な音を立ててドアが開いた。 

中は森の中以上にひんやりとしていて、寒気すら感じた。 

なんとも言えない埃とカビの匂いが鼻をついた。 

流石の僕も、ちょっと帰りたくなった。

「暗いね…ホントにお宝あるのかなぁ?」 

「た、たっくん、怖いんじゃないのか?」 

今度は僕がバカにされた様な気がした。 

でも本当は、亮の方が怖がっているって事はわかっていた。 

「大丈夫だよ、亮ちゃんと一緒だからね」 

いつもの亮に戻ってくれないと、僕も不安になってくる。 

僕は亮に頼ってる様に感じさせて、亮の気持ちを盛り上げた。 

それはとても上手くいった様だった。 

「そうだよね。二人一緒だもんね」 

亮が力強く歩き出した。

691 :本当にあった怖い名無し:04/11/08 18:00:07 ID:3SXxK8bF

館の中は本当に薄気味悪かった。 

至る所に蜘蛛の巣が張っていて、それにかかる度に、気持ち悪くて悲鳴をあげたくなった。 

でも悲鳴をあげてしまえば、二人とも挫けてしまいそうだと思い、精一杯我慢したんだ。

亮も多分、同じだったと思う。 

所々の壁に掛けてある絵も、何だかよくわからない絵で、 

紫や赤や黒が混じったような、気持ちの悪い物だった。 

僕等は出来るだけそれが目に入らないように、前だけ向いて歩いた。

途中のドアを何度か開けたけど、何も見つからなかった。 

ほとんどの部屋はがらんどうで、塵と蜘蛛の巣しかなかった。 

そろそろ諦め様かとしていた時、その部屋についた。 

これまでの部屋と違い、そこには色んな物が置いてあった。 

本棚、机、ベッド。壁には世界地図が掛かっていた。 

「ねぇ、亮ちゃん。この部屋、何かあるかもよ」 

興奮した口調で僕は言った。 

「よしっ、お宝見つけよう!!手分けして探そうぜ」 

亮は机。僕は本棚を探すことにした。 

ホントは、ベッドの上に乗ってる物を調べろっていわれたけど、本棚の方が何かありそうだからと断った。 

でもホントは違うんだ。ベッドの上のものは何か恐ろしげで、近づきたく無かったんだ。

692 :本当にあった怖い名無し:04/11/08 18:00:39 ID:3SXxK8bF

二人とも黙々と調べたけど、大した物は見つからなかった。 

本棚に一杯ある本も、なんだか判らない言葉で書いてあって、 

大人達は喜びそうだけど、僕等にとっては何の価値も無かった。

結局部屋中調べたけど、何も見つからなかった。 

残すはベッドだけだった。亮も、嫌な雰囲気がしてるのは気づいてる様だった。 

ベットの上にかかった、ピカピカ光った青のベルベット。 

それは奇妙に盛り上がっていて、その下に何かあるのは判っていた。

「イチニのサンで、この布を引っ張ろう」と亮が言った。 

「うん。僕こっち端持つから、亮ちゃんそっち持って」 

僕は逃げ出す準備をしていた。その下に何があるか、大体予想はついていた。 

イチニのサン。 

その瞬間、力一杯布を引くのと同時に、目を堅くつぶり顔を背けた。 

亮の悲鳴が聞こえた。僕は目をつぶったまま、ドアまで駆けていた。

パニックになった亮がわぁわぁと叫ぶ。 

ふと、その叫び声が止まる。次の瞬間… 

「宝だ!!宝を見つけたぞっ!!」 

しまった!!臆病な所を見せたばっかりに、亮に先にお宝を見つけられてしまった。 

僕は勇気を振り絞ると、ベッドへと目を向けた。

693 :本当にあった怖い名無し:04/11/08 18:01:15 ID:3SXxK8bF

想像した通り、ベッドの上には死体が転がっていた。 

しかし、思ったより大した事はなかったんだ。 

前に何かの本でみた、ミイラみたいだった。 

それはどうやら、僕等と同じ年くらいの子供の様だった。 

その首にはきらきらと金色に輝き、目の部分に真っ赤な宝石が埋め込まれた、

鷲の形のペンダントがかかっていた。

「た、たっくん。あのペンダント取ってよ」 

亮が震えた声で言った。亮はこう言うのが苦手だからなぁ。 

でも、僕だってそんなの嫌だよ。 

「亮ちゃんが見つけたんだろ?亮ちゃん取れよ」 

「ふ、二人で協力しなきゃ駄目なんだよ」 

確か、二人で協力しないと宝は取れないって話だったな。 

でも、これなら別に一人で取っても取れるじゃないか。 

よぉし、それなら僕が取って、僕の物にすればいいんだ。 

僕はおもむろに手を伸ばし、鷲のペンダントを掴んだ。 

その弾みで、死体の少年がこちらを向いた。 

心臓が口から飛び出しそうになった。 

でも、震える手で掴んだ宝は決して離さなかった。 

慎重に、慎重に、死体に触れないようにそれをはぎ取った。 

「やった!!やったぞ!!お宝ゲットだぜっ!!」 

手にした途端、さっきの怖さなんて吹き飛んで、嬉しさ一杯になった。 

高々とペンダントを掲げ、跳ね回った。

まるで、僕一人しか居ないかの様に、有頂天になってしまった。 

694 :本当にあった怖い名無し:04/11/08 18:02:01 ID:3SXxK8bF

そんな僕を見て、亮が怒りを顕わにした。 

「俺が最初に見つけたんだ、俺によこせっ!!」 

「そんなのおかしいよ!!実際取ったのは僕じゃないかっ!!」 

僕は亮の理不尽な言い分に、心底頭にきたんだ。 

だってそうでしょ?アイツは口先ばっかりでなんにもしなかったんだ。 

びびって何にも出来なかったくせに、美味しいとこだけ持っていくつもりなんだ。 

「実際取ったからってなんだよ…。大体ここ行こうって言ったのも俺だぞ」 

普段大人しい僕が怒鳴ったりしたもんで、亮はビックリした様子だった。 

でも、腕っ節に自信がある亮は、僕相手には引こうとしなかった。 

あんなに怖がっていたくせにだ。 

「よこせよっ!!」 

亮は僕の手に握られたペンダントをむしり取ろうと、力一杯引っ張った。 

嫌だと口では言わずに、僕も精一杯力を入れた。

その時、亮の左手が弧を描いた。

光の筋がパッと描かれたと思うと、僕の腕から力が抜けていた。次の瞬間、鋭い痛みが襲ってきた。 

亮は隠し持っていたカッターナイフで、僕の腕を斬りつけたんだ。 

「痛っ!!酷いよ…酷いよ亮ちゃん」 

亮が呆然と僕を見つめていた。 

「ご、ごめん…。本気じゃなかったんだよ…」

695 :本当にあった怖い名無し:04/11/08 18:03:46 ID:3SXxK8bF

亮の目は、何処か怯えている様だった。 

どうやら、チョット脅かしてやろうってくらいの気持ちだったらしい。 

「でも、たっくんが悪いんだぞ。素直に渡さないからっ!!」 

亮は僕の所為にした。僕は全然悪くないのに。 

悲しかったけど、泣かなかった。泣いたら負けだから。 

痛くて、悔しくて、情けなかった。 

でもこの時、ペンダントなんてどうでもよくなったんだ。 

亮は僕を傷つけてまでこれを欲しがってる。 

僕はこんな物の為に、人を傷つける気なんてさらさらない。 

おかしいのは亮だけど、こんな物要らない。 

僕が辛い思いをしたのも、怪我したのもペンダントの所為だもの。 

「いいよ…そんなに欲しいんだったら、そんな物くれてやるよ…」 

僕は釈然としない所はあったものの、潔くそう言った。 

「ほ、ホント?ホントにホント?」 

亮は少しビックリしてる様だった。 

失敗したかも知れないな。

亮が自分が悪いと思ってる今なら、何とか巧く僕の物に出来たかもしれなかった。 

「いいよっ!! 何回も言わせないでよ!!」 

「あ…ありがとう…」 

亮はばつの悪そうな顔で、僕の目を上目遣いで見ていた。 

「その代わり…。今度何か見つけたら僕にくれよ」 

「うんっ、うんっ、約束するよっ!!」

696 :本当にあった怖い名無し:04/11/08 18:04:16 ID:3SXxK8bF

亮がにっこりと笑った。 

こんな約束、コイツは明日になったら忘れるんだ。 

だけど僕は忘れない。そしたらその時言ってやるんだ。 

あの時、ペンダントを譲ったじゃないかって。 

僕に怪我させた事を、みんなにばらしてやるぞって。

その後、また奥へと向かった。 

亮は上機嫌だった。

途中何度も振り返っては、僕に良い奴だの、今度おごってくれるだのと、機嫌を取っていた。

僕はそんな亮の態度を、まるで人ごとの様に流す。 

僕のそんな態度に気づかない亮が、鬱陶しく思えた。 

あんな事があった後だから、何もかも色あせて見えた。 

蜘蛛の巣が顔にかかってもなんて事はないし、 

壁に掛かった絵だって、別に動き出す訳でもない、ただの絵だ。 

何もかもつまらなくなって、今はただ帰りたかった。 

早く帰ってテレビが見たいなぁ。 

今日の夕ご飯はなんだろうなぁ。 

適当に亮の後をついて行くだけ。

すると、前を行く亮が大声を上げた。 

「おぉいっ!!あった、あったぞ、お宝!!」 

飛び込んできた声に、急に現実に戻された。 

現金なもんだよね。でも、お宝って聞けば機嫌も治るよ。 

パッと駆け出し、亮に追いつく。

697 :本当にあった怖い名無し:04/11/08 18:05:38 ID:3SXxK8bF

「あ、駄目だよ!!気をつけて!!」 

ふと足下を見ると、そこにはぽっかりと大穴が開いていた。 

お宝は、その奥の壁に掛けてあった。 

鈍い光を放つ、赤銅色の蛙のペンダント。 

目の部分には、黒光りする石がはめ込まれていた。 

黒曜石とか言うやつだろうか。 

「…よかったじゃんか。ほら、お宝見つけたよ」 

どう考えても、鷲と蛙じゃ釣り合いがとれそうもない。 

亮もそれは判っている様だった。 

鷲はちゃっかり自分の物にして、僕には蛙でお茶を濁そうって事か。 

「うん…でも…」 

でも、あんな蛙なんか入らない。

全然ピカピカじゃないし、目だって赤い宝石じゃないし、それに蛙だ。 

僕は鷲が欲しいんだ。

698 :本当にあった怖い名無し:04/11/08 18:06:09 ID:3SXxK8bF

「そ、そっか、あれを取るのは骨が折れそうだもんね」 

亮はあからさまに話を逸らそうとしてる。 

蛙がかかっている壁には、下から梯子がかかっている。 

穴は大きくて、どう考えても、底に降りない限りは、梯子に手は掛からない様だ。 

しかしご丁寧に、穴の手前に太いロープが置いてあった。 

これで穴の底におりて、あちらの梯子を登れって事だろう。 

「これは…協力しないと取れないよね」 

亮が不安げに僕の顔を見る。 

「そうだね」 

その時の僕は、きっと無表情だったろうな。 

協力?さっき僕に斬りつけたばっかりなのに? 

「僕がロープをこっちで引っ張るから、たっくん取ってきなよ」 

絶対そう言うと思ったね。 

自分で降りるとは、絶対言わないと思っていた。 

何時も嫌な事は、僕にやらせようとするんだよな。 

「うん、わかったよ…。しっかり持っててよ、亮ちゃん」 

僕はそう言うと、亮の顔を正面から見据えた。

699 :本当にあった怖い名無し:04/11/08 18:06:43 ID:3SXxK8bF

「もちろんさ!!たっくんがお宝手にする番だもん」 

亮がにっこりと笑った。 

「ねぇ…お守りの代わりに、僕に鷲のペンダント貸してよ」 

「え…い、いいけど…蛙取ったらちゃんと返してね?」 

僕は鷲のペンダントを首にかけた。 

それだけで勇気がわいてきて、何でも出来るように思えた。 

簡単だと思った。亮の背中を押せばそれでお終いだ。 

「うわぁ、高ぇ…下が全然見えないよ。ホラ、たっくんも…」 

亮がこっちを振り返ろうとした時、足を滑らせた。 

そう、滑らせたんだ。僕は何もしていない。 

ちょっとぶつかったかもしれないけど、わざとじゃない。 

ちょっと脅かしてやろうと思っただけだ。 

亮がカッターナイフで僕を傷つけたように。

鈍い音が穴のそこで響いた。 

亮の声は聞こえては来なかった。 

兎に角早くここは離れてしまいたい。 

ここを出て、早く何もかも忘れてしまいたい。 

でも、このペンダントを見て、思い出さないでいられるだろうか? 

暗い気持ちを見透かした様に、鷲の目が僕を見ていた。 

そんな訳ないのに、ペンダントが僕を見る訳なんてないのに。

僕は恐ろしい想像が膨らまないようにと、息が切れる程思い切り走った。 

出口へ。早く出口へ行かなきゃ。

700 :本当にあった怖い名無し:04/11/08 18:07:19 ID:3SXxK8bF

出口だ!!

必死に走り、途中で何度も転んだけど、奥へと辿り着く時間の半分もかからずに、出口までやって来れた。 

やっと出られる。僕は手をかけ、力一杯そのドアを開こうとした。 

その時の僕の目は、血走っていたと思う。 

だけど、どんなに力を込めても、そのドアが開くことは無かった。 

どうやら閉じこめられてしまったらしい。 

「どうしよう、亮ちゃ…」 

言いかけた時、僕には頼れる相棒がいないのだと思いだした。 

一人で何とかしなくては。アイツの事は忘れて…。

何度も蹴ったり、体当たりをしたり、叫んだりしてみた。 

だけど、結局ドアは開かなかった。 

何も考える事が出来ず、ただただ懺悔するより他なかった。 

ごめんなさい、ごめんなさい、亮ちゃん。 

やっぱり戻ってきてよ。こんなペンダントなんてあげるから。 

神様、どうかこの僕を許してください。 

そして、亮ちゃんを戻してください。 

良い子になります、ちゃんと勉強もします。 

ペンダントも亮ちゃんにあげます。 

僕はドアに手をかけたまま、泣きながら崩れ堕ちた。

701 :本当にあった怖い名無し:04/11/08 18:07:49 ID:3SXxK8bF

その時だった。ドアにかけた手が滑り落ちるうちに、妙な窪みにに触れたのだった。 

目を凝らしその窪みを眺めると、何処かで見た形にそっくりだった。 

そう。それは今僕が首にかけている、鷲のペンダントの形だった。 

そうかっ!!ここにペンダントをはめ込めば良いんだ!! 

神様が僕を許してくれたんだ。 

ペンダントをここに置いて行けば、許してくれるんだ。 

亮ちゃん…ペンダントはここに置いていくよ…。 

だから、亮ちゃんも許してね。

僕はペンダントをその窪みに押し当てた。 

カチリと音がした。鍵が外れたんだ。 

今度こそ家に帰れるんだ。勢い良く僕はドアを開けた。 

そのドアの先、僕の目の前には…ドアがあった。 

愕然とした僕の目に飛び込んだのは、蛙の形をした窪みだった。 

鷲と蛙。二つが揃っていないと、外には出れないんだ。 

でも、蛙のペンダントはもう手に入らない。 

僕一人しかいないから。 

ペンダントは二つで一つ。友情の証だったんだ。

あの、鷲のペンダントを首にかけた少年は僕だった。 

愚かにも、親友を裏切り、ここで息絶える事になった僕だったんだ。 

僕は次にくる誰かが、無事に出られます様にと祈り、 

ドアから鷲のペンダントを取ると、首にかけたんだ。

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