峠の事故

2017.09.22.Fri.11:15

1999年12月10日、俺は福島県会津地方にある

N峠というところで自爆事故を起こした。

夜の9時過ぎ頃、峠道を下って

そろそろ人家が見え始めるというところで、

ガードロープに激突。

原因は凍結路面でのスリップだった。

厳密に言うとガードロープを支える支柱に激突したんだが、

ボンネットはグシャグシャ、

エンジンルームの右半分が大破するような状態だった。

にもかかわらず、俺自身は運良く

カスリ傷程度の怪我ですんだのだった。

ただし・・・激突位置がほんの少しでもずれていたら・・・

俺はたぶんその先の崖下へ真っ逆さまだったろう。

その事故から遡ること3週間ほど前。

俺は同じN峠を走っていた。

時刻は午後11時頃。

事故を起こした場所とは峠を挟んで反対の場所だったのだが、

峠のてっぺんには長さ900mくらいのトンネルがあり、

トンネルを抜けて1kmほど下ると金○橋という

自殺の名所と言われる橋がある。

このあたりは、いつも走る時にはなんだかイヤ~な感じを

抱きつつ走っているのだが・・・。

その橋に差し掛かる500mほど手前だったろうか。

俺の前を走っている車が、

センターラインをオーバーして

何かを追い越すような走行を見せた。

すると、前の車のライトに照らし出されて道路の左脇に人影が・・・。

ジーパンにスニーカー、トレーナーか?と思う服装だったが、

若い男の後ろ姿だと見てとれた。

で、俺も続いてそいつを追い越そうとしたんだが・・・

俺の車のライトには浮かび上がってこないんだ、そいつ。

道路左脇は山肌の連続で隠れる場所なんかないし、道路右側は崖の連続だ。

何よりも前の車のライトから

俺の車のライトに照明が切り替わるまで1~2秒じゃないか。

その間にいったいどこに隠れるっていうんだ。

俺は血の気が引いた・・・

後で聞いて知ったのだが、実はその場所で、

ちょうど1週間前にバイクが大型トラックと

正面衝突事故を起こし、バイクを運転していた若い男が即死したんだそうだ。

それから数日の間、俺は何人にもこの話をしゃべりまくった。

そして事故から1週間ほど過ぎた頃に行った、飲み屋でのこと。

隣に座った店の子が、

「Mさん、何だかオーラが弱いわね~・・・」

という。聞けばその子、その人のオーラ?のようなものを感じることができるとのこと。

「ううん、違う・・・オーラに怒りが混じっているみたいなんだ・・・」

と、言い直したかと思うと、突然、

「Mさん、その事故の話はもうこれ以上誰にもしない方が良いわ」

と言い出した。

でも、俺はその店に入ってからまだ誰にも事故の話をしてないぞ??

「オーラが、もうこれ以上話をするな、って怒ってるみたいだから・・・」

そう言ったかと思うと、急にこっちを向き直してまた彼女は言った。

「で、いったい何があったの?事故ったの?いつ?」

それから・・・やっぱさらに数人にも事故の話をしてしまった俺。

で、何事もなく2週間が経過したんだが、

12月10日になって急に用事ができたため、

再びあの峠を通るハメになった。

あの子に言われたのがひっかかっていた。

もうこれ以上誰にも話さない方が良い、と言われたことが・・・

イヤだな~、何もなければいいけどな~、と思いつつ、

金○橋に差し掛かる。

何事もなく通過。

で、例の目撃箇所。・・・何も起こらない。

トンネル通過。

下りに入る・・・何も起こらない。

やがて、そろそろ人家が見えるかな、という場所に差し掛かった。

俺はホッとした、良かった~、何も起こらなくって~・・・ん?

前方に、ジーパンにスニーカー、トレーナー?姿の男が見えるが・・・

でも、あ、あ、あ、頭がないぞぉ~~!!

で、急ブレーキを踏んだ俺。

凍結路面、スリップ、ハンドル操作不能、そしてガードロープに激突・・・

激突の衝撃でフラフラしながら車を降り、ガクガクしている手足を操りながら

ふと前方を見ると、道路脇にたたずみこちらを向いている男の姿が。

俺は思わずそいつに向かって手を合わせた。

「命だけは助けてくれてありがとう・・・」

すると、そいつは・・・

まるでチェシャ猫のように、俺の目前ですぅ~~っと消えていった。

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