偶然の寄り道

2017.09.24.Sun.16:15

25年前、北陸へ旅行に行った。

車で越前海岸を走っていたが、あいにく快晴とは言えない天気のため、

そして前日に宿泊した旅館で夕食に出たカニを食い過ぎたせいか、

俺も彼女も体調不良で、海を見てもきれいだねという

言葉も出ないような状況で車を走らせていた。

しかも、3台前を走っている

マイクロバスがノロノロ運転しているせいでスピードも出ないし、

何というか調子が出ないとでも言うのか、

ストレスを抱えたまま走っている感じだった。

せっかくの夏の旅行なのになー。

そんなことを思っていた時、彼女が一言。

「ごめん、ちょっとそこに寄って」

海岸沿いにある土産物屋の駐車場に、

ほったて小屋のように建てられていたトイレに寄って欲しい、と。

そうだね、少し気分を変えよう、

ということで、トイレ休憩を取った。

ついでに隣にある土産物屋をぶらついて店から出てきた時だった。

・・・雷?

なんか、ズ~ンとした、腹にひびくような感じがした。

何だろう?

とか思いながら車に乗り込んで、

地図を確認してからいざ走り出そうとすると。

急に道路が混み出しているではないか。

おいおい、事故かぁ?

勘弁してくれよ~、せっかくの夏の旅行なんだぞー?

・・・その数日後だった。

越前海岸での崩落事故で、マイクロバスが完全に巻き込まれ、

乗っていた全員が死亡する、という事故の惨状を聞いて、俺は凍り付いた。

あのとき3台前を走っていたマイクロバス。

ズ~ンという、落雷のようなひびくように感じた音。

あの時、彼女が「そこに寄って」と言っていなければ、

俺は今この世にいなかったのかもしれない。

今は俺の女房になっている彼女に、あの時ほど感謝したことはなかった。

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