バイク乗りの話

2017.09.25.Mon.16:15

バイク乗りの友人の話

その友人を仮にA(男)としよう。

Aはどっちかというとリーダー的存在だった。

みんなを引っ張っていくというより

飄々とした感じの性格で、

自然とまわりに人が集まるような感じの奴だった。

そんなAのバイク仲間の一人に、Bという男がいた。

Bはちょっとマイペースな性格で、

ツーリングでも時々自分勝手な走りをして

Aやみんなを困らせるような人だったらしい。

しかしどっちかというと気の弱い方で、根は悪い奴ではないので、

仲間としてそれなりに付き合っていたという。

A曰く、

「クラスに一人くらいはいるじゃん、悪気はないけど自分で気付いてないっていうか、

天然っていうか・・・それほど仲いいってわけでもないけど悪いってわけでもない、

そんな友人の一人」

だそうだ。

ある日、いつものように仲間とツーリングして

、その帰りのこと。すっかり日は暮れていた。

途中で自由解散となって、Aは帰りの方向が同じBと一緒に走っていた。

しばらくすると、前を走ってたBがいきなりウインカーをだして、

一軒のファミレスに入っていった。

Aは(・・・またか、しかたねーなー)と思いつつ、Bについていった。

Bは、トイレから出てくると、

「ごめん、なんか喉乾かねえ?」

と笑いながら席に座った。

Aは(お前トイレいってんじゃん)と苦笑しつつ、店員を呼んだ。

えらく無表情な店員がやってきて、「いらっしゃいませ」と、

テーブルの上の、オススメが描いてある紙の立て札を見せつける。

それにはパッションフルーツドリンクが描いてあった。

Aはめんどくさかったので、

「ああ、じゃあこれ一つ」

と言うと、

Bも

「あ、じゃあおれもそれ」

と続ける。

「パッションフルーツドリンクお二つですね」

と店員は冷ややかに答える。

Aは、なぜかやけに眠気を覚えていた。

Bは、そんなAにお構いなしに、たわいもないことを話しかけていた。

いつもはそれほどおしゃべりな方ではないそのBの態度が少し怪訝に思えてきた。

いつの間にか、目の前には、真っ赤なパッションフルーツドリンクが来ていた。

少しうとうとしながら、Bの話に適当に相槌をうってると、

「おいA!ちゃんと聞いてるのか?」

Bの思いがけない口調にAは驚いた。

「き、聞いてるよ」

いつもの気の弱そうな彼とはうって変わった厳しい口調で続ける。

「Aはいつもそうだ。おれのいうこと全然聞いちゃいない。おれのことなめてるだろ?」

「そ、そんなことねえよ・・・」

なぜか眠気はやまない。

「嘘付け!お前らいつもおれの陰口を言ってるんだろう?!」

Bはどんっ!とテーブルを叩いた。

その反動でドリンクがぶちまけてしまう。

ジュースが服にかかって真っ赤に染まる。

が、冷たくない。むしろぬるいくらい。

Aはジュースを拭こうとするも、

あまりにもの眠気で体が思うように動かない。

見ると、Bの服も真っ赤に染まってしまっている。

Aは、必死に眠気に抗いながら答える。

「陰口なんか言ってねえよ!仲間じゃねえか!」

事実、Aは性格上そういう陰口とか大嫌いだった。

「ほんとか?仲間なんだな?」

「あたり前だ!今日も一緒に走っただろ?」

「じゃあ、帰りも一緒に走ってくれるんだな?」

その時Aはなぜか、(やばい!)と思った。

次の瞬間、Aの携帯が鳴った。

さっき別れた別の仲間からだった。

眠気の中、必死に携帯に出ようとする。

「・・・走ってくれるんだろ?」

Bは、目をかっと見開き、、すさまじい形相でAを見据えながら聞く。

「お前もこいつ(携帯の相手)も仲間だ!」

Aは思わず叫ぶ。やっとの思いで携帯の通話ボタンを押す。

携帯からは、何故か、両親が自分の名前を呼んでいる声が聞こえた・・・

・・・Aは、病室で目覚めた。

ツーリングの帰り、AとBのバイクが接触し、転倒したらしい。

下りの坂道で、二人からまって道路から落ちるような形だったそうだ。

二人とも生死の境をさまよう程の大怪我を負い、

Aは奇跡的に生還し、Bは、Aが目覚める前に息をひきとったという・・・

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