ばんそうこう頂戴

2018.02.14.Wed.21:36

夫婦は毎朝6時に起きて、妻は朝食の、夫は出勤の支度をする。その日も普段と変わらず台所に立つと、夫が洗面所で顔を洗っている音が聞こえた。

突然インターホンが鳴った。

こんな時間に誰かと思って妻が覗き窓から確認すると、ランドセルを背負った小学校低学年くらいの男の子が立っていた。見たこともない子だ。

「こんな時間にどうしたの、だーれ?」と聞くと、その男の子は「ママがケガしちゃったの。ばんそうこう頂戴」と言った。

同じマンションの階の子かなと思ったが、どうもおかしい。妻は妙な気分のなか、急いで救急箱からばんそうこうを取って玄関に戻った。

ドアを開けることに急に恐怖を感じ、開ける前に「おうちはどこ?」と聞いた。

男の子は「ママ、血がいっぱい出てるの」と言う。

「ママはどうしてケガしちゃったの?」と聞くと

「ママ、血がいっぱい出て動かないの。早く開けてよ」

と男の子は言った。嫌な予感がする。なんかおかしい、ドアを開けてはダメだ…。
妻は恐怖でいっぱいになり

「うちはだめ、よそに行って!」と叫んだ。

次の瞬間、ドアを思いきり蹴った音がして、その後しーんと静まり返った。

ドキドキしながら覗き窓を覗いてみた。

「ひっ!」

なんとその男の子が覗き窓の高さまでよじ登って、こっちを覗いて不気味な笑みを浮かべていたのだ。

妻は思わず叫び声を上げた・・・とそこで目が覚めた。今までのことは全部夢だったのか?心臓がまだバクバクしていた。

夫が「また寝ちゃったの?」と言いながら洗面所から部屋に戻ってきた。

とにかく夢だったんだと思い、朝食の用意をするために起きようとしたとき、右手に何かを持っているのに気づいた。ばんそうこうの箱だった。

背筋が寒くなって声も出せず立ち尽くしていると、夫が話しかけてきた。

「お前、玄関でなんか騒いでただろ?大きな声がしたからどうしたのかと思ってさ。ドアが蹴られたような音もしたし」



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