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身籠った子は

2018.02.16.Fri.21:24

長年連れ添ってきた彼女と結婚を決めた、ある男がいた。彼女は嫉妬心が強く、彼が別の女性と話をするだけで嫌な顔をする。

そんな彼女を鬱陶しく思うこともあったが、彼女は一途に自分を愛してくれるので、男は結婚を決めたのだった。

結婚式を終えて念願のマイホームも購入し、二人の新婚生活が始まった。妻となった彼女は毎朝男を玄関から見送り、 夜は手の込んだ手料理を用意して待っていてくれた。

男にとって、とても幸せな新婚生活だった。

数年後、妻が初めて妊娠した。医者によると女の子だそうだ。男は妻の妊娠を心から喜び、妻も自分のお腹をなでながら幸せを感じていた。

やがてお腹もぽっこり出てきて、男はそのお腹に耳を当てて、毎朝毎晩、これから生まれてくる我が娘に話しかけた。

ある日、男の携帯に病院から連絡が入る。妻が流産したのだ。男は急いで妻が担ぎこまれた病院に向かった。産婦人科の担当医が流産の事実を男に話した。

男は病室で寝ている妻のところへ向かった。妻は悲しそうな目で窓の外を眺めていた。男は「残念だったな…」と呟いた。「…仕方ないね」と妻も呟いた。

その後、妻が振り絞るような声でこう続けた。

「また子供つくろう。死んじゃったあの子の分も生きられるような、元気な男の子をね…」



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