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ある部屋

2018.02.17.Sat.21:39

二人の少年が病院の廃墟を探検しに出かけた。
その病院は、繁華街から少し離れた場所にある。

特に何かが出たという話は今まで聞いたことはなかったが、好奇心と怖い物見たさから少年たちは廃墟へ向かった。

廃墟の中には多くの病室があった。病室にはベッドがあり、まるで誰かがさっきまで寝ていたように、かけ布団がめくれた状態でホコリをかぶっていた。

期待していたような怪奇現象に遭遇することはなかったが、お化け屋敷のような廃墟に、少年たちはワーワー言いながら騒いだ。

しかし、8階のある病室の前に来たとき、二人のはしゃぎ声が止まった。

この部屋はどうも様子が違う。他の部屋は扉が壊れていたり開けたままになっているのだが、その病室だけはしっかりと扉が閉まっているのだ。

さらにおかしなことは、南京錠がかけられていることだった。

何のためにこの病室だけ鍵をかけたのだろうか。部屋の中には何があるのだろうか…。

少年たちは、その病室のドアを開けてみることに決めた。
『廃墟の封印された部屋』なんて、これほど好奇心をそそられるものはない。

二人は診察室からパイプ椅子を持ってきて、思いきり鍵を叩いた。鍵は錆びていたようで、思ったより簡単に壊れた。

「死体があったらヤバいな…」
「それはないよ(笑)。あっても劇薬なんかだろ」

二人は緊張しながらドアを開けた。

部屋の中には死体も劇薬もなく、

ただ、部屋の壁に変な模様があるのが気になった。

遮光性のカーテンのせいか、部屋は薄暗い。部屋の中央を見ると、シーツのような布が落ちていた。

一人の少年がカーテンを開け、鍵がかかっていなかったので窓も開けた。部屋の中に光がさし込み、明るく照らされる。

次の瞬間、二人は絶句してしまった。

部屋の壁一面にびっしり、『たすけて』と書かれていたのだ。

それが変な模様の正体だった。

大小様々な『たすけて』の文字をよく見ると、所々に小さな文字で『しにたくない』と書かれている。

二人は部屋の中央に落ちていた布を恐る恐る指でつまんでみた。その布には、錆びた鉄の色をした染みがついていた。

布の先を持って広げてみる。ベリッ、バリッと音を立てながら、くっついていた布が広がった。

この色、この臭い…。この染みが何であるか予想できたが、決して口には出せなかった。

とにかく早くこの部屋を出たい!

少年たちが振り返ると、ドアが目に入った。ドアに酷く乱れた字で書かれていた言葉。二人は恐怖で気が狂いそうになった。

『もうだめだここからでられないでられないでられないでられないでられない……』

二人は一目散に病院から逃げ出した。一体だれが書いたのか。この部屋で何が行われていたのか…。

謎は解けないままである。



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