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深夜のコンビニ

2018.02.22.Thu.21:47

この話は、ある男がコンビニで深夜のアルバイトをしていた頃に起きた体験談である。

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そのコンビニは、深夜になるとほとんど客が来なくなる。俺は共にバイトをしていた大学の先輩と、バックルームでのんびり過ごしていた。

ある日のこと。
いつもと同じように暇な深夜で、仕事といえばたまにモニターをチェックするくらい。俺はバックルームでお菓子を食べながら先輩とおしゃべりしていた。

モニターは画面が4分割されていて、レジ2箇所、食料品棚、本棚を映している。ふとモニターを見ると、本棚の前に女性が立っていた。腰まで髪が伸びており、異様な雰囲気がした。

「いつ入ったんだろう、チャイム鳴らなかったよな」

と先輩は首をかしげたが、以前にもチャイムが鳴らなかったことがあるので、特に深く考えず俺らはまたのんびり過ごした。

15分ほど時間が過ぎたとき、どうも様子がおかしいことに気づいた。その女性はまったく動いていないのである。

本を読んでいるのかと思ったが、手に本を持っていない。ただひたすら、じっと本棚を見つめているだけだった。

「こいつ、万引きするのかもしれないぞ」

モニターをじっと見ていた先輩が言った。

俺も同じ事を考えていたので、思わず頷いた。
万引き犯なら二人で捕まえよう。そう決意して挟み撃ちをしようと考え、バックルームを出た。

先輩はレジ側から、俺はバックルームへの出入り口から本棚へ向かった。

いざ本棚へ到着してみると、俺らは驚きのあまり顔を見合わせた。どこにも女性の姿は見当たらなかったのだ。

すると、トイレのほうから水を流す音が聞こえてきた。

何だ、トイレに入っていたのか。何だかホッとして、とりあえずバックルームへ戻った。

しかし、モニターを見た途端に思わず目を疑った。そこには、先ほどと全く同じ立ち位置で、本棚を見つめている女性が映っていたのだ。

トイレからすぐに出たとしても、早すぎる。
しかも、さっきと全く同じ立ち位置ってどう考えてもおかしい。

モニターが故障しているのか?

俺らは顔を見合わせ、もう一度バックルームから挟み撃ちしようと本棚へと足を急いだ。

冷や汗がにじむのを感じた。そこにはまた誰もいないのである。

仕方なくバックルームへと戻り、無言で真っ先にモニターを確認した。
「大丈夫、いないよ。たぶん帰ったのかも」
先輩が言った通り、モニターから女性の姿が消えていた。一瞬ホッとして、再度モニターを確認しようとして先輩が顔を乗り出した。

その時だ!
「待て、動くな」
先輩が突然、押し殺した声を出した。俺らはモニターを覗き込んだ姿のまま、固まった。

「絶対に振り向くなよ」

先輩がまた押し殺した声を出した。俺ははじめ不思議に思ったが、目の前にあるモニターをじっと見たとき、先輩の言葉の意味を理解した。

画面が反射して、自分の顔と先輩の顔が映っている。

しかし、その真ん中には…。
例の女性の顔が覗き込んでいたのだ。

悲鳴をこらえて、俺らは身動きできずにいた。
この上ない恐怖を感じながら、じっと耐えること数分、

「…………」

その女が何か呟き、すっと離れた。

どうにか気持ちを落ち着けて、ゆっくりと振り向いた。そこに女の姿はない。

どくどく脈打つ心臓を押さえ、モニターから離れた。

「俺たち、見ちゃったなぁ……」
先輩は感慨深げに呟いた。

俺は「そうですね」と言いながら、再び心臓が止まりそうになった。先輩も俺の様子に気づいてモニターの方へ向き直った。

画面の中には、さっきの女がいた。しかも、今度は大口を開けてカメラの方を向いて笑っていたのだ。


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