白い日傘

2016.07.28.Thu.11:25

今から、3年ぐらい前の話になります。

僕は内装工事関係の仕事をしているのですが、その会社の社長(と言っても若い)と僕と同僚の計4人で仕事が暇になると、よくスキーに行ってました。

僕達の会社は名古屋の郊外にありまして、国道19号を北上するとスキー場まですぐだったのでほんとに良く通っていました。

いつも12時(夜中)ぐらいに出発してスキー場には3~4時ごろには到着して、一眠りしてから滑っていました。

その日もいつもと同じように12時頃会社に集合して国道19号を北に向かって車を走らせていました。中津川、土岐を過ぎるあたりから道路も狭くなり、行き交う車もトラックや同じスキーヤーの車ばかりになっていきました。

車は社長が運転していて僕は助手席に座っていました。そして後部座席に同僚のKとYが。車中は和気藹々と楽しい時間が過ぎていましたが、あるときふと社長が「裏道でも探そうか」と言い出しました。

僕は結構そうゆう事が好きだったので(裏道探しとか、ミステリースポットにいったり)大賛成でした。 

そして車は19号を1本奥に入った山道に進んでいきました。今考えたら何故社長はあんな事を言ったのか不思議でなりません。いつもどおりの道を進んでいたならばあんな目にはあわなくてすんだのに 

裏道に入ってしばらく走っていると、もう一つ奥に入る道が出てきました。誰も文句なく全会一致で奥の道に入ることに決まりました。

それから5分ほど走ったと思いましたが、そこは何の変哲もない普通の田舎道でした。 

道路は舗装してありましたが、両脇はずっと田んぼだらけで、ポツンポツンと薄暗い街頭が立っているだけの普通の道でした。 

みんな「こんなもんだろ。」という感じでじゃあそろそろ戻ろうかと話をし 

ていたその時です。

街頭の下に白いワンピースを着て日傘を差した女の人が立っていたのです。「何でこんな時間に」と思い僕は思わず車の時計に目をやりました。

時計は2時過ぎを表示していました。車は大体50~60キロぐらいで走っていたと思います。暗いところでしたし、夜中で少し眠たくなっていたので目の錯覚か何かだろうと思うことにしました。 

戻る道をさがしつつ、5分程そのまま走っていました。するとまた街頭の下に白いワンピースを着て日傘を差した女の人が立っていたのです。 

その女性の髪は黒いショートボブで、青白い顔をこちらをに向けていました。 

街頭の下だったせいか暗闇に浮かぶように感じられました。恐ろしくなった僕は運転している社長の方を見ました。社長も僕の方を見ていました。 

「見た?」

「ええ」

「実はさっきも見たんだけど…」

「えっ僕もです」 

「ヤバイよね」

「こわいっすね,マジで」 

後を振りかえると2人も顔をしかめていました。そこで僕達は来た道をひき返すかどうするか迷いましたがもう少し走ってみようということになりました。

車のスピードは自然と速くなっていきました。すると1分も経たないうちにまたワンピースの女が街頭の下に立っていました。

もう怖くて声も出ませんでした。社長はハンドルにしがみつくように運転していました。今度は街頭と街頭の間に、そして次の街頭の下に……気がつくと同じワンピースの女が無数に道路脇に連なるように立っていたのです。

そしてこちらを見ながら「ニヤッ」と笑ながら…。 

もう恐ろしくなった僕は頭を抱えて助手席に深く沈みこもうとしたときです。 

僕の足と足の間に黒髪の女の顔があったのです。女は僕をみてこうつぶやいたのです。「みーつけた」僕は余りの恐怖で気持ち悪くなってしまい意識が遠のきかけたとき「グワシャ~ン」という音と同じに記憶を失いました。 

僕達の車は、街頭にぶつかりそのまま田んぼに落ちていました。幸い四駆だったので、そこから出ることは出来ましたが、その日はスキーもやめて戻ってきました。

会社に戻り板やウェアを下ろしているとKが「ウワッ」と声をあげたのです。

そこには荷物の上に白い日傘が1本置いてあったのでした。当然僕達はそんな日傘を持っているはずもありませんし、社長の持ち物でもありませんでした。 

改めて僕は背筋に悪寒が走るのを感じました。その後その傘は社長が近くの寺に事情を説明して処分してもらったそうです。 

あれ以来僕は霊の存在を信じることになりました。



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