廃墟と化した病院

2016.09.19.Mon.21:07

オカルト好きな私ですが、実は霊的現象は信じていませんでした。

私の周りに居る「自称霊が見える」人達の話も全く信じていませんでした。

ですが、今では信じています。信じざるを得ないと云うのでしょうか。

丁度1年前の話になります。

私とH(男)とK(男)は幼馴染。小さい頃からいつも一緒でした。

その日も3人でN県にある、廃墟と化した病院に肝試しに行こうとなったのです。

時刻1時。真っ暗で周りは何も見えない。たった一つの懐中電灯を頼りに歩きました。

夜中の病院って本当に怖い。霊的に、とかじゃなくて理屈無しに怖い。雰囲気だけで怖い。

余りの怖さに失禁しそうになった私を見て、やはり肝試しは明日にしようとなりました。

(きっとHもKも怖かったんでしょうね。) 

翌日昼ごろ。雨が降っていましたが、明るく、これなら行けそうと思っていました。

病院内に入ると、イヤ~な雰囲気。匂い。暑いはずのに空気が生ぬるい。寒気がする。

私達は適当に病院の格部屋を廻りましたが、少し飽きてきました。

幽霊なんて居る筈もなく、私は内心ホッと安心していたのです。

そろそろ帰ろう、HだったかKだったかがそう言いました。

するとその時、突然「カーンカーンカーン・・・」

階段をハイヒール等で歩く足音が聞こえてきたのです。

もうそれだけで大パニック。

HもKも、勿論私も悲鳴もあげられず、その場で立ちすくむだけ。

普通こんな状況でしたら必死に走って逃げますよね。

でもその時の恐怖感と云えば、足がすくみ、身動き一つ出来ない。

だんだん足音が近くなってくるのが手に取る様にわかる。

その時でした。Hが大声で「走れえぇぇぇぇっぇぇぇぇぇーーーーーーー」と言ったんです。

私とKはハッとし、3人でダッシュで病院から逃げ出しました。 

漸く車まで戻ると急いで車を出し、無事に近くの食事処の様な場所まで着いたのです。

車の中でも、そこに着いて数分の間も、私達は無言のままでした。

Hは汗をビッショリ掻いていました。

Kは泣いていました。

私はただただ呆然としていました。

「俺たちの他に肝試しをしていた奴が居たんだ。きっとそうだよ。」

Hは自分にそう言い聞かせるように言いました。

私とKは「ウン、ウン、そうだよな、それしかないよな」と返しました。

そうして私達は納得し、帰ったのです。 

次の日、Kから電話がありました。

「お前見たか?」そう言ってきたのです。

「何を?」そう返すしかないじゃないですか。

でも本当はわかってたんです。

Kは「何か」を見た。

いつも強気のKが霊を見て泣く?私より怖がる?おかしい。

Kは続けてこう言いました。

「俺、見たんだ。病院で。足音が聞こえて・・・逃げ出しただろ?

その時、俺、チラッと後ろを振り返っちまったんだ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・何を見たの?・・・・」

「女だった。俺たちが逃げると共に女も走ってこっちにきたんだ。

真っ黒で長い髪をバサバサさせて、すげえ勢いでこっちに向かって走ってきたんだ。

ものすごい形相だった。本当に殺されるかと思った。

だけど、・・・笑ってたんだ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

現在、HもKも私も今までと変わりなく仲が良いです。

でもあのときのことは誰一人話さない。

タブーになっているんです。

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