ブランコ

2016.10.26.Wed.21:29

俺が一人暮らしを始めて間もない頃、

俺の住んでるアパートの前には結構な大きさの公園があった。

昼間には子供達が元気よく遊びまわり、

主婦達の井戸端会議の場にもなっていた。

その日、俺は翌日が仕事が休みということもあり、

久しぶりにDVD三昧の夜を過ごそうと、

徒歩3分位の場所にあるビデオ屋へDVDを借りに出かけた。

そのビデオ屋はAM3:00まで営業しているビデオ屋で

俺が借りに出かけたのはもう24:00過ぎだった。

ところが週末ということもあり、面白そうなタイトルは全然空いてない。

仕方なしに適当なタイトルを手にして俺は店を後にした。

タバコを咥えながらアパートのすぐ傍まで来たときに、

タバコの買い置きがないことを思い出し、

近くのコンビニまで行く事にした。

目当てのコンビニはアパート前の公園を横切っていけば、

スグに見えるほどの距離なので、

俺は借りてきたDVDを片手に公園へと足を踏み入れた。

街灯が4つ程しか点灯していない、

夜の公園は思いのほか不気味な雰囲気を醸し出してはいたものの、

俺はさして気にすることもなく歩いていた。

そのときだ・・・

公園の隅のほうにあるブランコ(1人乗りのヤツではなく4人位乗れるBOX型のヤツ)

から子供の話し声が聞こえた気がした。

「へ?!いくらなんでもこんな時間だぜ?」と思いながら、

暗闇の中のブランコに目を凝らすも、人影はない・・・

なんとなく気持ち悪いなとは思ったものの、

この時間に公園で子供の声を聞いてしまったら、

放っておけるほど無関心人間でもないので、

ブランコへと近づいて行った。

行かなければよかった・・・

向かい合わせで座るブランコの右側の座席には、

花束の山・・・

そして子供の描いた絵やメッセージ・・・

ヤバイ!!と思った俺の目の前でブランコが

「キィ・・・キィ・・・」動き出しやがった。

逃げようと思いつつも、足が動かない・・・

ブランコの耳障りな金属音とともに聞こえる子供の声・・・

小さく呟くような声で何を言っているのかは全く聞き取れない。

必死の思いで足を動かし、

俺はブランコを見つめたまま後ずさりを始めた。

そんな俺を嘲笑うかのようにブランコは揺れ続ける・・・

なんとかアパートに辿り着き、

震える手で部屋の鍵をあけた俺の目に飛び込んできたのは・・・

壁中についた泥だらけの小さな手形・・・

床中に残された数百にも及ぶ小さな靴の跡・・・

その日からしばらく実家に帰り、そのまま2週間後にアパートを引き払いました。

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