アキオ

2016.11.14.Mon.22:02

俺が今でもRPGやんないのは理由があんだよ。

小学校2年の時。

その頃はみんな知ってる通り、ファミコン全盛期。

当時うちでは金銭的な理由ではなく、

親の教育方針みたいなもんで

ファミコンのソフトはなかなか買ってもらえないものだったんだ。

誕生日とクリスマス、そしてばあちゃんが年に1回くらい買ってくれるくらい。

ちょうど、とある大作RPGの三作目が発売されて

1ヶ月くらいたった頃だったと思うんだけど。

親父と近所を散歩してたら近所のスーパーの前で

中古ソフトの路上販売をやってたんだ。

やっぱり目についたのは例のRPGソフト。

俺がどんな目をしてソレを見つめていたかは、

今でも想像に難くない。

まさに食い入るように見てたんだろうね。

すると親父が言った。

「欲しいのあるのか?たまには買ってやるよ」

と。

もう言葉にならないくらいうれしかったのを今でも覚えている。

まぁ、後から考えると親父が急に買ってくれた時点で

すでに何かがおかしかったのかもしれないんだけど。

家に帰ってさっそくやりたかったんだけど、

我が家には厳しい掟が。

ファミコンは毎週日曜日2時間まで。

くぅ、今日はまだ水曜の夕方・・・!

やれねぇ。

しょうがない、俺は部屋で穴があくほど

カセットと説明書を眺めてたよ。

で、気づいた。

カセットの裏と説明書の最後のページに『アキオ』って書いてあるのに。

まぁ、当時名前が書いてあるのは、

そんなに不思議な事でもなかったから

その時はそれほど気にもしなかったんだけど。

なにぶん中古ソフトだし。

翌日学校から帰ってきたんだ。

うちのおかんは専業主婦だから家にいないって事はめったにない。

なのにその日帰ると誰もいなかった。

玄関には置手紙

『タク(弟)とおばあちゃんのとこ(近所)にいってますね。5時には戻ります』

変な偶然が重なるもんである。

が、その時はそんな風には考えない。

俺の頭は一気にゲームモードに突入。

千歳一隅のチャンス!時間はまだ2時過ぎ!

今からだと3時間近くプレイできるじゃないか!

さっそくファミコンを準備、部屋にソフトを取りに行く。

昨日の夜、机の中に入れてたつもりだったが、

『ソレ』は早くプレイしろといわんばかりに机の上に出ていた。

が、深く考えない。さっそくスイッチON。

真っ黒な画面。

俺はこのゲームのオープニングを

まだどこでも見たことがなかったから違和感はナシ。

そう言うもんだと受け止めたよ。

しばらく待つ。

・・・更に待つ。

何もつかない・・・。

まじかよ!まさか壊れてんのか?

カセットを外し、息を吹き込む。

更そして慎重に本体に挿入、再び電源を・・・。

おもむろに音が出た。

だけど、これってBGMか・・・?

何か、木琴だか鉄琴だかみたいな音が同じテンポで流れるだけ。

まぁ、それでもゲームモードに入った俺は怪しまないんだけど。

タイトルも表示されないまま、いきなりセーブデータが表示される。

予想通り主人公『アキオ』のデータだ。

さっそくデータを消して、新たに俺のデータを作ろうとした。

ただその時俺は気づいた。

セーブデータ作成を促す文章がなんかおかしいんだ。

『ぼくとあそんでくれるのはだれ?』

なんだか変だぞ・・・。

その時初めておかしいと思い始めた。

奇妙なBGMは延々と続いている。

怪しみながらもひとまず名前を入れる『シンイチ(仮名)』と。

その瞬間。

『あははははははははははははは!シンイチ君!

あははははははは・・・!』

静かな家の中。

大音響のけたたましい子供の笑い声がテレビから溢れた。

あまりの事に俺は頭が真っ白になり、気が遠のいた。

でもはっきり見たよ。

薄れる意識の中、黒い画面に同い年くらいの少年の顔が映っているのを・・・。

満面の笑顔で。

夕方。俺は、おかんに起こされて気が付いた。

ファミコンが出しっぱなしだったため、

隠れてやろうとしてた事がバレてカンカンだった。

怒られながら横目で見たテレビ画面にはもう何も映ってはいなかった。

もうこんなソフトは近くに置いときたくなかった。

一刻も早く捨てたかった。

だけど、せっかく親父が買ってくれたんだ・・。

捨てるのも何か親父に悪い気がしてできなかった。

結局、そのソフトは俺の部屋の押し入れ奥深くの俺の道具入れにしまうことにした。

翌日。

学校から戻ったらまたおかんがいなかった。

でも、玄関に置手紙はナシ。

ということはタクが家に残ってるってことだ。

ランドセルを置いてリビングに行った。

タクがテレビの方を向いて座ってる。

その前にはファミコンが。

そして隠したはずのあのソフトが。

次の瞬間、テレビのモニタが目に入った。

『アキオ』がこっちを見て大声で笑った。

こっちを振り向いたタクもアキオと同じ顔で笑ってた。

二つの笑顔と声がが頭で渦巻き、また俺の気は遠のいていった。

ごめん、話としては一応終わりだよ。

まぁ、つづきってほどじゃないんだけど。

夕方、結局2日連続でおかんに起こされてめちゃめちゃ怒られたよ。

タクも寝てた(気を失ってた?)らしくて二人して怒られた。

しかもタク何にも覚えてないし、すげーやっかい。

俺が

「アキオが・・・!」

とか言っても全然信じてくれないし。

(あたりまえだけど)

ちなみにそのソフトは、翌週ビビる俺の前で親父がつけてみたけど

何にもつかなくて『故障』の烙印押されて捨てられた・・・。

で、新しいのを買ってやるって言ってたけど丁重に断ったよ。

今でもBGMがリアルに思い出せてすごい気持ち悪い。

けど、年を重ねるにつれてそれが現実だったのかどうか

自分でもよくわかんなくなってくるんだよなぁ。

まぁ、夢だったんならそれでもいんだけど。

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