しゅっちょさん

2016.12.08.Thu.16:43

当時、俺は親父の友人の下で、配管工の手伝いをバイトでやらされていました。

その現場で仲良くなった同年代のKの、アパートに遊びに行った時の出来事です。

まあ、今は縁を切って会わないことにしてるんですが、Kはすっごいおもろい奴でした。

半引き篭もり気味だった俺は、毎晩Kのアパートで飲んだりする事が楽しくて、

仕事の後に、Kの家に遊びに行くのが日課となっていました。

そんなある晩のこと。

俺とKはいつもの様に、仕事帰りにコンビニで酒とおつまみを買った後、

雑談を交わしながら、夜道をKのアパートに向かって歩いていました。

すると突然、Kが背後を振り返りました。

不思議に思った俺が、「どうかしたんか?」と尋ねると、

Kは「・・・いや、何でもない。ところで―」と、こっちに向き直り、

再び俺らは雑談を交わしながら、Kのアパートに歩き始めました。

Kのアパートに着いた俺らは、さっそく酒を交わし、

テレビを見ながら床に寝っ転がって、談笑をしながら時を過ごしました。

気がつけば、夜中の2時になっていました。

明日は午後からキツイ仕事が待ってると、仕事先の監督に言われてたの思い出した俺は、

おいとましようかなと、立ち上がりました。

するとKが、酔っ払って赤くなった面持ちで言うのです。

「もう少しいとけって。なんなら、泊ってってもかまわん」

Kがこんなことを言うのも珍しい、と思ったその時、

アパートの階段が、静かに軋む音が聞こえてきました。

すると突然Kが、一瞬にして酔いが醒めたかの様に立ち上がり、

「来おった・・・しゅっちょさんや」と呟きました。

そして、窓を閉めて鍵をかけ、ドアの鍵がかかっているか確認し、

俺の隣に来て、「いいか。何を言われても、それに答えたらあかんぞ?」と言ってきました。

何が起きたのかさっぱり分からなかった俺は、

少し慌てながら「なんや?『しゅっちょさん』って誰や!?」と返しました。

しかしKはそれに答えず、不動のままドアを睨みつけていました。

すると静かにドアを叩く音が鳴り、ドアの向こうから声が聞こえてきました。

「ねぇー、今から遊ばなーい?ねぇー、遊ぼーよぉー。ねぇ、いいじゃんかよぉ!俺今暇なんだよ」

そして、ドアノブをガチャガチャと乱暴に回しはじめました。

Kは震えながら小声で、「すいません、すいません」と繰り返していました。

俺は何もできませんでした。

すると声の主は、大声でこう叫んだのです。

「*******!!********!!!」

恐らく放送禁止用語なのだろうと思いますが、その大半はよく聞き取れませんでした。

次の日の朝、Kは『しゅっちょさん』が帰ったのを確認すると、

俺の手を引いて、近所の神社に向かいました。

神主さんは俺とKに粗塩をかけながら、こう言いました。

「また来おったんか。もはやアレは人間では無いから、相手にするな」

その後、俺はKに送られて、自宅に帰りました。

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