人の気配

2017.01.28.Sat.21:45

私の家には車庫があって、その上に「工場の二階」と呼ばれる部屋がある。

鉄のようなもので出来た階段をかんかん上がって、両側に部屋がある。右側はかなりでかい部屋。

トイレと勉強机が一つ、それからもらいもののオルガンと天体望遠鏡とプラモデルのガスを圧縮して出す銃(弾も撃てる)。

これは随分改造されていて、当たるとかなり痛いらしい。ほかはただの物置みたいな部屋。

左側にあるのが本題の部屋なんだが、その部屋は昔、父が若い頃にラジコンの飛行機を作ったりしていた部屋で、二つの同じ大きさの部屋がつながっている感じ。

一つ目の部屋と二つ目の部屋がドアで分けられてある。

昔はここで仕事をしたり、軽く寝たりしていたらしい。

その部屋に今度従兄弟が住む、という話になったので、掃除をすることになった。妹と従兄弟と三人でわーわー言いながらかんかんと階段を上がった。

従兄弟は霊感が強いほうらしいので、父の知人にもらった御札を右側のでかい部屋に貼ってくると言った。

妹は怖がりで工場の二階が苦手だったので、私の後ろにくっついていた。左側の一つ目の部屋に入る。

相変わらず埃っぽく、乾燥していた。実を言えば私もあまりこの部屋は得意ではない。

右側のでかい部屋ならたまに遊んだりするものの、こっちはあまり来たことがない。

内心びくびくしながらも、もうひとつの部屋とつながる扉のドアノブをひねる。十センチほどあけたところで、私はなにかを感じた。

あ、これ、今向こう側に誰かいる。

直感でそう感じた。いるはずのない人の気配がしたのだ。

私が、ああ、なんかこれやばいかもしれない。

開けるのやだなーと思って静止していると、妹が不安そうに「開けないの?」と聞いてきた。

私は妹とそっくりな外見で、妹よりも運動はできないし、愛想もよくなかったので、「自分がおねえちゃんなんだから開けるぞ!」と、変な使命感を持った。

普段から頼られることが少なかったので、実は妹がくっついているときからかなり嬉しかったのだ。勇気を出して、私は扉を一気に開けて中に入った。

当然だがだれもいなかった。私は、よかったーと安堵した。

それから従兄弟と掃除をして、家具を運び入れて、その日の作業を終了した。

のちのちに父に工場の二階にまつわる話を聞いた。

父の父(つまりは私の父方の祖父)は、銃やら刀やらをどこかのルートからたくさん入手しては、工場の二階に持ち込んでいたらしい。

もちろんだが今はない。まぁその中に一丁の銃があったそうだ。

その銃をいつもどおり祖父は工場の二階に置いていった。

その日、父が工場の二階で仮眠していると、かん、かん、と階段を上る音がした。しかし、誰もやってこない。

そんなのがしばらく続いたそうだ。うるさいなと思った父はある日、音の主を確かめることにした。

いつものように父が寝ていると、階段を上る音が聞こえて、父は飛び起き、階段のほうを見に行った。

一瞬だったが、そこには若い兵士が見えたと言う。

気付けばいなくなっていて、父は呆気にとられたそうだ。

「多分、あの銃は本物だったんだよなぁ。だから兵士がその銃に釣られてきたんだろうなぁ」と父は言った。

ぶっちゃけあの工場の二階はいろんなものがいたらしい。

ポルターガイストがひどいとかなんとか。

でも父は完璧にスルーしていたそうだ。

どうやら祖父がいろいろ連れてきたりしていたようだった。

もちろん今は御札があるので、安全だが、私が感じたのもやっぱりそういう何かだったのかと思った。

関連記事
コメント

管理者のみに表示