人影

2017.01.30.Mon.21:06

私が出会ったのは人影だった。

これは私が小学校低学年の頃の話。

私が下校していると黒い影を見つけた。私の通う小学校は東宮神社をぬけた、ひらけた田舎の田んぼ道の真ん中にあり、あの時は稲刈りが終わった秋の日のことだった。

夕焼けが景色をあめ色に染めるなか、私はとぼとぼと1人で帰っていた。本当は集団下校で帰る予定だったが、先生に呼ばれて居残った為にみんなと一緒に帰ることができなかった。

誰もいない田んぼのあるくねくね道をあるいているとふと誰かの気配を感じた。

「◯◯ちゃん!?」

私はいつも一緒に下校している友達が待っていてくれたのだと思い、その友達の名前を呼んだ。

しかし、返事は無い。

私は気のせいかと思い。また足を進めた。だけれども、やはり誰かが着いていてくる気配がする。

「◯◯ちゃん!?いるの??」

私はまた友達の名前を呼ぶ。けれどもまた返事はない。

私は辺りを見回してみた。やはり、友達は見当たらない。

その代わり別のものを見つけてしまった。

人影だ。

それもただの人影ではない。

人がいないのだ。人影だけがぽつんと私が来た道にあったのだ。

この世のものではない。

私は直感ながらそう思った。

私が恐怖で後ずさるとその影は私を追うように近づいてきた。

私の小さな心臓は張り裂けそうに鼓動した。

小さいながらも得てきた人生経験と生来の感覚のすべて警報を鳴らした。

逃げなきゃ!

私は足を走らせた。しかし、その影も私の足を追うように近づいてきた。その影は速く、私が1歩進む速さで2歩分は距離は進んできた。

気付くと影は真後ろまで迫っていた。

逃げ切れない!

そう思うか思わないかのうちに私は影に捕まった。その影が私に触れると消えてしまった。

いや、影が消えたのではなく周りの世界が消えたように感じた。

意識はずっとあったと思うが気づくと私は、東宮神社にいた。

あの影から逃げる経緯でどうやってここまで来たのだろうか?

全く思い出せなかった。

空を見ると日はすっかりと沈んでいていて私は家へと急いだ。

家に帰り玄関を開けると「どこ行ってたの?」と母親に泣きつかれた。

どうやら私は1週間ほど行方不明になっていたらしい。

あれから30年くらいたつがあの影は何だったのか今だにわからない。

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