人を呪わば穴二つ

2017.02.01.Wed.21:03

「人を呪わば穴二つ」

または、「人を呪えば穴二つ」とも。人を呪うことは大昔からたくさん行われてきた。昔では丑の刻参り、私が中学校の頃はコックリさんの様な感じの呪いが流行っていた。

最も子供の頃の呪いのおまじないなど軽い気持ちでやるもので、彼も軽い気持ちでやったんだと思う。

しかし、人を呪うということは軽い気持ちではやってはいけない。

人を呪うということは気まぐれな効果とそれ相応の罰がある。

私には2人の幼馴染がいた。

Aは明るい性格で社交的な人だった。それに対してBは人付き合いが苦手でクラスの隅にいるような人だった。

私達は住んでいる団地が同じで幼稚園に入る前から遊んでいて、そのまま幼稚園、小学校、中学校も同じ学校に通って毎日の様に顔をあわせていた。

三人いつも一緒にいて兄弟のように感じていた。

しかし、そんな関係も中学の3年の時に終わった。

Bが死んだのだ。

学校からの帰り道いつもは三人で帰っていた。だけどBが死んだあの日、彼は私達に先に帰ると言い私達は2人で帰ることにした。

その日の下校途中にBは橋から落ちたのだ。

警察の判断では自殺ということになった。

しかし私は自殺するように思えなかった。

まず自殺する理由がない。

当日も落ち込んだ様子もなかったし、そんなに思いやられることがあったならまず私たちに相談するはずだ。

だけど、そんなことはなかった。

Bのお葬式の日、Aを遠目に見えたが尋常じゃないくらい青い顔をしてブツブツ言っていた。私は話しかけようとしたが泣きじゃくっていたので上手く声がでなくてAを呼び止めることができず見失ってしまった。

その日からAはまったく私に話しかけないようになってしまい。

別の高校に進学したこともありAとは会わなくなった。

そのことに私はさみしく思っていたが徐々にその気持ちも薄れていった。

そして大学二年の冬、成人式の日。

私は5年ぶりにAに会った。久々に会った為か全く話さなくなったことも忘れて話が盛り上がった。

ねぇせっかく集まったしBのお墓参りに行こうよとAを誘った。

AはBのお墓参りに行くことに快い顔をしなかったが私の説得により行くことになった。

そのお墓参りの帰り道のことだった。

お墓のある奥まった道を抜けてAが運転する車の中で私は外を何も考えずみていた。

その道を抜けても周りに民家はなく、街灯も少ない。

私はふとさみしくなり、運転するAに「今頃生きてたらBは何してるかな?」と聞いた。 

するとAからは返事がなかった。

聞こえなかったのかな?と思い、もう一度 

「Aくん?、Bが生きてたら何やってるのかな?」

と聞いた。。

しかし、やはり反応がない。 

「Aくん?」

私は隣にいるAくんの顔を覗きこんだ。 

するとそこには、Aではない誰かが座っていた。

いや、正しくはAなのだか、今まで見たことのないほど無表情でのっぺりとしていた。まるでAの仮面をかぶっている誰かが座っているようだった。

そな正気のない顔を車のメーターをうつすあかりが微かに照らしていた。

「Aくん?Aくん?大丈夫??」 

私はAの肩を軽く叩きながら、徐々に声を荒げていった。 

しかしAからの返事はなくAは何やらつぶやきはじめた。

「やめろ!やめろ!やめろ!やめろ!」

すると、そのつぶやきに呼応するように車のスピードが上がりだした。 

田舎の車のいない道を、速いスピードで駆け抜ける。 

「ねぇAくん!」 

Aの反応はなく車は中学校の頃の通学路に入って行った。

「ねぇ車を止めて、しっかりして!」 

私はAの肩をつかんで、大きく揺さぶった。 

「あがっ、あ、がぁあがぁがっあがああぁがっ」

しかしAは今までに聞いたことのないような奇声をあげ、車はどんどんスピードが上がっていく。

そして車からは思い出深い場所が見えてきた。Bが飛び降りた場所だ。

そこの橋には街灯もなく、車のライトだけが暗く寂しい道を照らしていた。 

私は車の中の出来事に、もう訳が分からず泣き叫んだ。 

私は過去にあった思い出が走馬灯のように頭の中を流れた。 

最後にできる限りのことをしようとサイドブレーキを思い切り引っ張った。

車は爆音と激しい振動とともにぐるぐるとスピンをはじめた。 

タイヤが路面をこすり車体は回る。

Aはそれでも奇声をあげてアクセルを踏み続ける。

車は大きく唸り橋へとは乗らず河川敷の方へ回転しながら転落した。

車はじゃばら状に折れ曲がり、何のパーツがわからない鉄の棒がAのお腹に突き刺さった。その痛みでようやくAは正気に目を覚ましたようだった。数秒沈黙しいつもの顔に戻ってこう言った。

「Bがいたんだ。ずっと俺の隣に、」

そう言うとすぐに気を失った。

結局、すぐにレスキュー隊が来てくれて

私達は一命を取り留めた。私はほとんど怪我はなかったが、Aは脊髄をやられたらしく寝たきりでの生活を余儀無くされることになった。

自分の手当てが終わった私はAの病室に向かった。

「あのときBを見たんでしょ?私は、あの時Bが助けてくれたんだと思うよ?」

そう私が言うとAは

「そんなことない」

と否定して、後悔にまみれた顔でこう続けた。

「あいつを呪い殺したんだ。俺は」

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