ずるっズルッずるっ…

2017.02.03.Fri.11:25

これは俺が入院していた頃の話です。

当時、俺は小学校3年生でかなり能天気の元気坊主でした。

今になってなぜあんなことをしたのか、馬鹿馬鹿しく思えますが、事の発端は給食を食べた後の昼休みに外へ遊びに行ったことです。

運動場が目的だったのですが、運動場に行く道にちょっと大きな木があり、枝が当時の俺でも届きそうな高さにあったのでそれで遊びはじめました。後々友達も来てくれ、一緒にワイワイやっていたのですが…。

ほんっとに頭が悪かったのだとおもいます。細い枝にブランブランぶら下がって…俺がブラーンって呟いた瞬間

バキッ!ヒューーードシン!

あの瞬間はホントに何が起きたのか分からず、目眩と息が出来ないとで動けませんでした。声にならないしわがれ声で

ぐるじい……

それが精一杯でした。

もうそのあとは大変で救急車で運ばれて手術して…

俺、内臓破裂で脾臓という、血をリサイクルする内臓を卵のように割れていたそうです。出血多量で死にかけまでいきました。

普通枝にぶら下がったら危ないとわかりますよね。

これもゾッとする話ですが、前置き長くてすいません。

手術したあと、2週間の入院になりました。

はじめの一週間は親も入れない所でずっとビデオを見たりゲームしたりの毎日でした。もちろん寝たきりです。

で、残りの一週間は別の部屋に移されました。その部屋は20時まで親も入ることが出来るしおもちゃもあり、何より他の入院者と遊べることが良かったと思います。

しかし恐怖が来るとは想像もしていなかったです。

親が20時までいてくれ、帰った後皆でドミノをして遊んでいました。と言っても21時までしか遊べないので途中で明日に回そうと倒さないように、ベットがある隣の部屋まで4 、5人で行きました。もちろん寝れる訳がなく、ベットに入ったまま話をして、笑ったり、怖い話をしたり…

そんなこんなで気づいたら寝ていました。

多分かなり夜遅くに起きたようです。眠いなーなど思いながらまた寝ようとすると

あー歯みがきするの忘れてた…

するのも面倒くさかったですが、しないわけにはいかなかったのでベットでゴロゴロしたあと思いきって起きて洗面所に向かいました。ベットルームを静かに出て扉を閉めて…

振り替えって廊下を見ると

不気味なほどの真っ暗さと静けさでした。

さすがにバカな俺でも能天気なんてなれず、先の見えない闇へと続くような廊下を壁つたいで歩きました。ソロソロと歩いたために洗面所まで行くのは5分くらいかかったと思います。

そして、洗面所に着いて電気を着けました。これで何とか怖い気持ちは少しは和らぎました。

洗面所の入り口からみると、

左側はトイレのドアが3つ並び、右側に鏡と蛇口が3つずつありました。

壁は鏡がある一面の壁は緑であとはすべて白に近い、薄く黄色がかったものでした。

俺は癖で端っこによく行きます。だから、一番奥、すなわち入り口から3番目の蛇口に向かいました。

そして、歯みがきセットからブラシをとって歯みがき粉をつけ…トロい操作で口に含み、ゴシゴシしていました。

その時は眠気は少しはありましたがほとんど無く、やっぱり静かすぎであるのと、病院という雰囲気がどうも当時の俺の心を恐怖で満たしていました。

さっさと終わらせてしまおうとでかい音をたてながらゴシゴシしていると

後ろから

キイィ……

擬音語で分かりますよね。後ろのトイレのドアがちょっとだけ開く音です。

俺はとっさに鏡を見て鏡ごしに後ろのドアを見ました。

というよりパニックで(笑)

そして見ると俺の後ろ、3番目のドアがちょっとだけ開いていました。

何で!?何で俺の後ろのドアが開くの!?

そう思った…その時だったと思います。

何となくですが、

ドアの小さい隙間から顔が見えました。

ばっ!!!っとものスゴい、首も折れるような速さで振り向くと誰もいません。気のせいだと思いました。

違いました。

いました。

鏡の中のドアには誰かがこっちを顔半分だけ見せて覗いていたのです。

しかもさっきよりも

濃く…はっきりと。

たぶん歯みがき粉は口に含んだまま、口を膨らませたまま…ポカンとしていたと思います。

あれは髪の長い女でした。

そしてちょっとの間静まりかえった場所で目があった状態です。

俺にとってはものスゴい長い時間だったと思います。

俺が早く歯みがき粉を口から出し、口をゆすいで洗面所から出ようと、消えてくれているか、確かめの為に鏡ごしに女を見ました。

ですが、やっぱり半分だけ顔を覗かせたままでした。

しかし、ただ違うのは

ニヤリ…

と笑っていたことです。

生気の無い真っ白な顔にシワが入った顔ほど不気味なものはありません。それにニヤケ顔などもってのほかです。

洗面所を出ようと走って

入り口まで向かうとなぜかその時は歯みがきセットを忘れたことを思いだしたのです。バカなのに。

そして入り口で振り替えると

何と一番奥のドアから顔を出していたのではなく、

立っていました。

体全体が見えるように洗面所とドアの間に

立っていました。

恐怖が頂点を貫き、猛ダッシュで部屋まで戻ったことを今でもはっきり覚えています。

ガタガタ震えた手で、

そのせいでなかなか開いてはくれない手でドアを乱暴に開け、

鍵を閉めて

布団にもぐり込んで震えていました。

どうか!どうか来ないで…助けてぇ~(泣)

そう思いながら震えていると

ずるっズルッずるっ…

何かを引きずるような音が遠くから聞こえました。

バカな俺でも、直感でさっきのお化けだなと思いました。

徐々に…音が大きくなるたびに…こっちに近づいて来ているのが分かります。

俺が使っていたベットはドアに一番近い壁側の所でドアがついている所以外は外からでも見えるよう、ガラス張りになっていました。

カーテンが両側にあったので閉めていました。

ずるっズルッずるっ…

何やかんやで、その音はついに最大限までに大きくなり…

壁を見ると

カーテンに影が映っていました。

あの影は這いつくばった形でした。

その影は俺が部屋から出て来るのを待つかのように

ドアの前を

ずるっズルッずるっ…

と往復していました。

影だけしか見えないのでより気持ち悪いものでした。

そして、いつの間にか気を失っていたようです。

気づくと朝になっていました。

幸いに、ちょうどその日が残りの一週間の最後の日ということもあって

昼には帰ることができました。

結局歯みがきセットは忘れてしまいましたが(笑)。

でもあの、ずるっズルッずるっは何だったのでしょう。何を引きずっていたのでしょう。自分自身なら濡れた状態で来ないとあんな気持ち悪い音は出るわけがありません。

今は知る由もありませんが…

ただ1つだけ言える事があります。

お化けは実際に存在することです。

これしか体験談はありませんが断言できます。

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