長袖の下に

2017.02.10.Fri.21:07

小学校の時に転校してきた奴で、少し変わった奴がいた。

家はやや貧乏そうで、親父さんがいないみたいだった。

お袋さんは2,3回見たことがあるけど優しそうな人で、そんなに不幸そうではなくて普通に明るい奴だった。

でも変わってるのは、そいつがどんな真夏でも、絶対に長袖を着つづけていた事だった。

寒がりって訳ではなかった。夏休み前とか、長袖シャツに半ズボンで学校に来てたし。

あと、プールの授業にも絶対出なかった。

なにか体にコンプレックスがあるのかな?ってようやく気付いて来た頃、

クラスの悪ガキ達の間で、そいつをよくからかうようになった。

その長袖シャツを剥ぎ取ろうと、みんなでからかったんだ。

ある日、そいつが無性に怒り出して暴れて、そいつの指が俺の目に入った。

俺は涙がボロボロッと出てきて、他の奴らはそれに感化されてカンシャクを起こして、

数人で本気になってそいつの服を剥ぎ取った。

そうしたら、そいつの右腕にヘンな物が…

『うまれてきてくれてありがとう(ハートマーク)だいすきなわたしのあかちゃん○○くん(ハート)

 ままはとってもうれしいです(ハート)いいこにそだってね(ハート)○○ままより(ハート)』

と、すこし歪んだ刺青が施されていた。

お袋さんの、お手製だったのかな。

そいつは、その後しばらくしてまた転校してしまった。

それから一回も会ってないけど、今はどこにいるんだろう?

今そいつも、俺と同い年の25歳か… 

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