おかあさ~ん

2017.03.01.Wed.11:18

子どもの頃の話。

僕は2階建ての古い借家にすんでいた。1階が充分に広かったこともあり、2階は物置同然に使われていた。

そして、母親も仕事をしていたので、学校から帰っても自分一人のことが多かった。

ある日、夕方遅く学校から帰ってくると、家の中が暗い。

「おかあさ~ん」と呼ぶと、2階からか、とても小さな声で「はあ~い」と応える声がした気がした。

珍しく、母親が家にいてくれたのかと思い、もう一度呼ぶと、また「はあ~い」。

自分を呼んでいるような気がして、2階へあがる。

階段をあがったところでまた母を呼ぶと、奥の部屋から「はあ~い」と声がする。

一刻も早く母の顏をみたいと思い、奥の部屋へゆっくりと近づいていく。

その時、下で玄関を開ける音がした。

「しゅんすけ、帰ってる~?買い物してきたよ~」と、母親が明るい声で僕を呼んでいる。

あれ?お母さんは下にいる。

奥の部屋にいるのは??? 誰? ?  ??? 

急に怖くなり、静かに階段を降りようと後ずさっていくと、奥の部屋のドアがキキキとわずかに開いた。

そのドアの隙間に見えたのは、無表情に、しかし間違いなくこっちを見ている白い人間の顔だった。 

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