人形の扉

2017.03.09.Thu.16:26

私はバドミントン部に所属していました。私の通っている学校は部活にとても厳しく、それ故に成果を残し私の部活は全国から見ても強かったと思います。

そんなある日、私もようやく団体戦のメンバーに選ばれ、今度の大会での出場が決定しました。

しかし日程が近くなるにつれて緊張してしまい、練習も空回りする日が続きました。そんな私を見兼ねて友人がある日、「神社で願掛けしようよ。試合で勝てますようにって」と言ってくれました。神社に行って、そこで願掛けすることで試合に勝てるとは思いませんでしたが気休めにでもなればと、休日部活が終わった後の夕方に近くの神社に友人と行くことにしました。

神社と言っても小さいもので鳥居とその奥に小さな蔵のようなものがありお賽銭を入れる小さな箱が置いてあるだけでした。鳥居も鳥居でなんだか汚れているように見えたので私は何故かその鳥居をくぐらずに蔵のところまで行きました。友人はくぐったようですが。

お賽銭を入れ今度の大会でうまくいきますように、とお願いをすれば後は用はありません。私と友人は帰ろうとしたのですが、ふと視線を感じ私は振り向きました。すると、蔵の扉、ガラス戸のようになっていたのですが、そのガラス戸の向こうから何体かの人形がこちらを見ているのです。日本人形もあれば、リカちゃん人形のようなものもありました。お願いをする時は特に扉など気にしていなかったので変だなと思っても特に恐怖は感じませんでした。ですが、神社を出た後、友人にそのことを話すと友人は人形など見えなかったというのです。

「蔵の中なんて真っ暗で見えなかったよ。それに、扉があったんだよ?見えるわけないじゃん。きっと見間違いだよ」

そう言われましたがガラス戸だったし、あんな何体もの人形を見間違えるわけないと、私はその夜とても怖くなり眠れませんでした。気味が悪いという思いと、何か視線を感じていたからです。

そして無事、大会を終えました。

結果は都内で準優勝と惜しくも悔しい結果となりましたが、初めての試合、とても充実していいものとなりました。

そして私と友人は大会が終わったその足でまた、あの神社に行くことにしたのです。願掛けでお世話になったからそのお礼、というのもありましたが、私はどうしても確かめたかったのです。あの扉の向こうにある人形が本当に見間違いだったのかを。そしてあの日から妙に感じる視線の正体を突き止めたかったのです。

同じ友人と同じ神社に行き、今度は私も鳥居をくぐりました。そして例の小さな蔵まで行き、意を決して扉を見つめたのですが…。

人形の姿などありませんでした。それどころか扉そのものが変わっていてガラス戸ではなくただ単に障子となっていました。私は心底ほっとしました。見間違いかどうだったかは分からないけれど、あのどこか不気味な人形を再び見ることがなくて良かったと思いました。

そしてお礼を終え神社を後にしたあと、友人に扉のことを話せば私にとってショックなことを聞かされました。

「人形、見えなかったよ。それどころか扉も変わっててさ。何だったんだろうね」

「え?扉?」

「え?前はガラス戸だったのに今日はただの障子になってたでしょう?」

「うぅん。前来た時もただの障子だったよ?だから、人形が見えるわけないって言ったの」

友人が言うには先日訪れた時の扉は蔵の中など見えないただの障子だったらしいのです。今思えば確かに神社の蔵にガラス戸などを使うのはおかしいと思います。

ならば、私が見たものは何の扉だったのでしょうか。そして、あの数体の人形は何だったのでしょうか。

今でも、あの時人形を見つめた時に感じた視線を、時たま感じます。

 

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