仲町交差点(前編)

2017.03.10.Fri.11:29

僕の地域には、とある都市伝説があった。

その都市伝説というのは町外れにある中町交差点に行くと昔死に別れた親しい誰かに会えるというものだった。

僕自身こんな迷信を信じてはいなかったし、あの時の僕には死に別れた人なんていなかった。

その交差点は何回か通ったことがあったが、特に何も無く車通りの無い道の上でただただ信号機が点滅しているだけのさみしい交差点だった。

中学2年になると僕とよく遊ぶグループの友人Aのお父さんが病気で亡くなった。Aとそのお父さんは仲が良くいつも一緒にいるイメージがあった。

Aは、非常に落ち込み学校に来ない日々が続いた。僕らのグループもAがいないせいか活気がなくなっていた。

「Aを連れて中町交差点に行こう」

こう言い出したのはBだった。

そいつは、Aと親しく結構幽霊とかを信じるやつだ。

僕はそんな迷信は信じていなかったが、Aを家から連れ出せるいい機会だと思ったので賛成することにした。

呼びかけに集まったのは僕とBに加えてCだった。三人でAの家に迎えに行くとげっそりと痩せたAが出てきた。

AのおばちゃんはこもりっきりのAを外に出したかったのかあまり気乗りのしていなかったAを無理やり僕らの前に出してきた。

中町交差点はA町から自転車で40分。

いろいろ道草を食いながら行ったら2時間くらいかかった。

僕らがそこに着く頃には日が傾き夕焼けが空を赤く染めていた。

実際着いたはいいものの何も起きなかった。

ただただ時間が過ぎていく、気づくと夕日が半分以上沈み6時を知らせるチャイムがなり始めた。

やはり迷信だったのだと思い僕は

「帰ろうぜ!何にもないし」

と言い帰り支度を進める。

みんなが帰る支度をして、自転車のスタンドを蹴ろうとしたとき突然Aが「父さん!?」と言った。

みんながそちらをみるとAが何もない交差点を指差し「いま、父さんがいたんだ。」といった。

「本当に!?」とみんなが聞き返すと、Aは「見間違いかもしんないけど確かにいた気がする」と答えた。

その日の帰り道はみんな笑顔だった。嘘でも幻でもいいからAが父さんと会えたんだ。

それが僕らは嬉しかった。

しかし、その気持ちは長くは続かなかった。

次の日、中町交差点でAが遺体となって発見された。

 

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